『豊臣兄弟!』より。安藤守就の娘、慶(ちか、演:吉岡里帆) (C)NHK
歴史はエンターテインメント!かしまし歴史チャンネルへようこそ。『豊臣兄弟!』第13回のタイトルは「疑惑の花嫁」。木下小一郎長秀/豊臣秀長(演:仲野太賀)と、安藤守就(演:田中哲司)の娘、慶(ちか、演:吉岡里帆)との結婚が描かれました。そしてこの回のもう一つの主題が、将軍・足利義昭(演:尾上右近)と織田信長(演:小栗旬)の関係の変化です。将軍を守ると言っていた信長は、義昭に「五カ条の条書」を突きつけます。これを腹立たしく思った義昭が刀を振り回すというシーンがありました。なぜ信長はこんなことをしたのか。そして五カ条の中身はどういったものだったのでしょうか?今回は、ドラマでは描かれなかった部分も含め、信長と義昭の関係がどう変化したのかを見ていきましょう。(かしまし歴史チャンネル/川合章子)
将軍が襲われた――本圀寺の変と揺らぐ将軍の権威
永禄12年(1569)1月、将軍・足利義昭が滞在していた本圀寺が襲撃されるという事件が発生しました。いわゆる「本圀寺の変」です。これは幕府の存亡に関わる重大な危機でした。
当時、岐阜にいた織田信長は急ぎ上洛しますが、彼が到着したとき、戦闘自体はすでに義昭側の勝利で終結していました。
しかし、この事件は信長に強い衝撃を与えました。さらには将軍を京に置いただけでは混乱が収まらないという現実と、室町将軍の権威の衰えを痛感させるきっかけともなったのです。
「将軍を据えるだけでは足りない」信長が見た幕府統治の実態
信長は当初、義昭を将軍として擁立することで、畿内に安定した秩序が築けると考えていました。しかし、本圀寺の変を通じて、その前提が崩れてしまっている現実を思い知ります。
特に信長が危惧したのは、義昭側近の統制力不足や情報収集能力の低さ、さらには当時の幕府において、近習や申次(もうしつぎ、将軍への取り次ぎ役)が賄賂によって訴訟の受理や判決を左右するなど、幕府内での不正が常態化していたことでした。
このため信長は、京に将軍を据えるだけでは秩序は維持できず、政治運営の仕組みそのものを改革する必要があると判断したのです。







