「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」……。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として抜粋・編集した記事や、著者による書き下ろし記事で、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。
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「減点主義」と「加点主義」の違いとは
子どもの言語化力を伸ばすうえで、親が押さえておくべきは、「減点主義」と「加点主義」の違いについてです。
減点主義とは、「できていないところ」「足りないところ」に注目し、そこを正そうとする関わり方のことです。減点していくため、点数はどんどん下がっていきます。
一方、加点主義とは、「できているところ」「いいところ」に光を当て、それを認めていく関わり方です。加点していくため、点数はどんどん上がっていきます。
減点主義と加点主義では、言語化力の育ち方に大きな差が生まれます。
「それは違う」「もっとちゃんと話して」…。つい言ってませんか?
減点主義の一例を挙げましょう。
たとえば、子どもが何かを説明したときに、「変な言い方」「それは違う」「もっとちゃんと話して」「結局何が言いたいの?」と、できていない部分に目を向け指摘します。
あるいは、言い間違いや表現の拙さをすぐに訂正してしまう。
こうした関わりが続くと、子どもは、「話すのが怖い」「どうせ自分はうまく言えない」と萎縮してしまいます。いわゆる「完璧主義」は、この減点主義の最たるものです。常に100点を求められる環境では、子どもは安心して言葉を発することができません。
一方で、加点主義に切り替えると、子どもの反応は大きく変わります。
たとえば、少しでも自分の言葉で話せたら
「わかりやすいね」「自分の言葉で言えたね」「そんな言葉も知ってるんだ」「具体的だね」
と伝える。
途中で詰まっても「ちゃんと考えているね」とプロセスを認める。
このように「できたこと」「よかった点」に目を向けることで、子どもは大きな安心安全を感じます。
親は親で子どもの点数がどんどん上乗せされていくことに喜びを感じます。
加点主義の親を持つ子どもは、言葉にすることへのブレーキがかかっておらず、積極的に言葉にしていこうとします。親がいつでも自分の「長所」「いい点」「できている点」を見てくれているため、自己肯定感も高まっていきます。減点されることのない安心感に包まれながら、子どもは楽しく意欲的に言葉を発し続けます。
こどもの言語化力は、安心できる環境の中でスクスクと育っていきます。
親が減点主義と加点主義のどちらを採用するか。その違いが、その子の言語化力の有無や高低を大きく左右するのです。
*本記事は、『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の著者山口拓朗氏による書き下ろしです。






