真正離脱者が苦しむ
「反社」のレッテル貼り

 このような真正離脱者(更生の意思をもって離脱した者)としての元暴が社会復帰しづらいケースは、現代社会で散見されます。暴力団離脱者(と、その家族)は「反社」と社会からカテゴライズされ、社会権すら極端に制限されている現状があります。だからといって、暴力団員歴を隠して、履歴書や申請書に記載しないと、虚偽記載となる可能性があるのです。

 こうした極端な社会権の制限は、暴力団や暴力団の枠から外れて犯罪活動に従事する偽装離脱者を念頭に置いた対策であることは理解できます。しかし、真正離脱者には柔軟な対応が求められます。

 なぜなら、せっかく更生しようと思って離脱した真正離脱者が、カタギとして生きなおしができず、生活困窮のあげく、生きるために元暴アウトロー(暴力団を離脱した者が犯罪者になること)として犯罪に従事せざるを得なくなる可能性があるからです。

 個々のケースを見ずに、もともと暴力団に在籍していたのだから、更生なんかできない、再犯の可能性が高いだろうという偏見の下で「反社」としてすべてを一括りに扱うことに対して、筆者は違和感を覚えます。

 一例ですが、筆者が法務省の就労支援事業所において就労支援をおこなっていたとき、暴力団離脱者の方が、一般的な刑余者と比べて、就労定着率が高かったのです。暴力団離脱者だって同じ人間です。暴力団に所属していた間、暴力団のルールを守って行動していたのだから、何らかの「ルールを守る」ことはできるわけです。暴力団のルールが守れるなら、努力すれば慣習的職業社会のルールも守れるのではないでしょうか。

 暴排の狼煙が上がったのは2008年です。

 現在、暴排は更に徹底され、暴力団など反社会的勢力との関係を確認する企業コンプライアンスは常識となっています。この基準を簡単にいうと、警察庁や銀行のデータベースに登録されている者はもちろんアウト。

 あとは、パソコンでググった結果、過去に暴力団組員としての逮捕歴があったり、特殊詐欺などの前歴がある、あるいは、暴力団と「もちつもたれつの関係がある」と当局が認定している者(密接交際者)などは、銀行口座の開設が危うくなるということです。