面会窓口で向き合う男性たち写真はイメージです Photo:PIXTA

暴力団員と準構成員の総数は、2011年の7万300人から、2024年には約1万8800人まで減少した。その背景には、ヤクザたちを取り巻く「生きづらさ」がある。暴力団排除条例により、ホテルの予約をするだけでも逮捕され、日常生活すらままならないのだ。嫌気がさして組を抜けた「元暴」の現実を追った。※本稿は、犯罪社会学者の廣末 登『ヤクザが消えた裏社会』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

一度ヤクザになったら
カタギに戻るのは難しい

「暴力団・暴力団員にとって生きづらい社会なら、暴力団をやめて真っ当に働いて生活すればいいではないか」という意見もあると思います。しかし、言うはやすしです。日本社会は、かつて暴力団に加入していた者に対して寛容ではありません。

 筆者は、結婚や子どもができたことを契機に、カタギになろうとして社会復帰を試みた者を数多くみてきました。しかし、肌感覚では、半数以上の者が社会復帰に失敗しているという印象を持っています。統計上も、暴力団を離脱した者の内3分の1が社会復帰した昭和時代に比べて、現代の方が社会復帰した離脱者の人数は低い数値になっているのです。

 社会復帰が進まない理由のひとつに、暴力団排除条例(以下、暴排条例)が内包する「元暴5年条項」が指摘されます。たとえば、暴排条例を全国に先駆けて施行した福岡県をみてみましょう。第2条の三に、次のような記述があります。「暴力団員等とは、暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者をいう」

 暴排条例においては、暴力団を離脱しても、一定期間(おおむね5年間)は、暴力団員等=暴力団関係者とみなされ、銀行口座を開設することも、自分の名義で家を借りることも、携帯電話の契約も、保険などへの加入もままなりません。