ダメだとわかっているのに飲み過ぎ、食べ過ぎをやめられない。いつもスマホを見てダラダラ……怠惰な生活から抜け出せない。「私の人生、このままでいいのか?」と感じる人におすすめなのが、書籍『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』(キム・ソクチェ著/岡崎暢子訳)だ。本書の発売を記念して、ライターの照宮遼子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「やめたいのにやめられない人」の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

記憶をなくすほどお酒を飲んでしまう。でもやめられない…

「鍵がない」

マンションの入り口で、しばらく立ち尽くしていた。

その日は、定時で仕事を切り上げて、職場の気の合う人たちと飲みに行った。立ち飲みだったせいか、いつもより酔いが回るのが早かった。

楽しくて、もう一杯、もう一杯と続けているうちに、4時間が経っていた。

最寄り駅まで送ってもらい、別れたところまでは覚えている。

財布はある。スマホもある。

ないのは、鍵と記憶だけだ。

結局、朝まで時間をつぶし、住人が出てくるのを待つしかなかった。

特徴ワースト1:快楽のアクセルのせいで、「やめよう」というブレーキが壊れている

神経内科専門医として脳科学分野の第一線で活躍するキム・ソクチェ氏は、著書『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』でこう述べている。

「依存症の脳を例えるなら、急な坂道を滑降するブレーキの壊れた自転車です。止まり方を忘れて、より多くの報酬だけを追い求め暴走するように脳が設定されてしまっているのです。」――本書より

本書によると、脳の中には、快楽や報酬を感じると「今すぐやれ」と指令を出す部位がある。

楽しいことや気持ちいいことが起こりそうになると、「今すぐ」のスイッチが入る。

一方で、脳内には、「待て」「やめろ」と止めるブレーキの役割を持つ部位もある。

このブレーキは、失敗や後悔をきっかけに「これはやめておこう」と学習することで働く。

しかし、強い報酬を何度も繰り返すと、このブレーキは次第に弱くなり、その学習も機能しなくなる。

その結果、脳は「次こそは大丈夫だ」と期待するばかりで、同じ行動を繰り返してしまうのだ。

「やめたいのにやめられない」のは意志のせいではなく、「脳の問題」

20代の頃は、自宅の廊下で寝ていたこともあったし、財布を駅のトイレに置き忘れたこともあった。それでも財布は戻ってきたし、二日酔いで寝込むこともなかった。

ダメージがないから、懲りない。
結局締め出しを食らった次の花金には、また飲みに出かけていた。

でも、最近、飲んだ翌日のパフォーマンスが、目に見えて落ちるようになった。だるさや集中力の低下。そのコストが、楽しさを上回っていく。

そうした「失敗」が積み重なって、ようやく「ほどほどにしろ」という脳の回路が育ってきたように思う。

本書の中で、著者キム・ソクチェ氏は、「やめたいのに、やめられないのは、意志の問題ではなく、脳の問題だ」と断言する。

本書は、「やめられない行動」を生む脳の仕組みと、その抜け出し方を具体的に示してくれる。

衝動の正体がわかれば、行動は変わっていくはずだ。

(本稿は『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』に関する特別投稿です)