そして、もう一つぜひ知っておいていただきたいのが、自分とは正反対の立場にAIを立たせる頼み方です。
「この件を、私とは反対の立場にいる相手の視点から検討してください。相手はこの提案をどう受け止め、どのような印象を抱くでしょうか」
例えば、ある企業への投資を検討しているなら、出資を受ける企業の側から見て、この提案はどう映るのか。新たな事業をビジネスパートナーと進めるなら、もう一方のパートナーの立場から、この座組みはどう見えるのか。会社の方針を決めるなら、経営者の視点だけでなく、従業員や顧客の立場からはどう感じられるのか……。
AIに相手の役を演じさせることで、交渉や意思決定の前に、相手の本音を先回りして点検できるのです。
富裕層は、こうした小さな工夫によって、AIを「第二、第三の選択肢を生み出す装置」として使いこなしています。特別な道具も費用も要りません。プロンプトの一文を変えるだけで、誰もが今日から始められる方法です。
「ジレンマ」を超えて
上昇していく人の共通点
富裕層であり続ける人、そしてさらに超富裕層へと登っていく人には、共通点があります。それは、承認欲求が満たされたところで満足してしまう、というジレンマに陥らないことです。
彼らは、心地よい肯定の中にとどまりません。あえてAIに批判的な意見を求め、第二、第三の選択肢を引き出し、自分を客観視するための材料を集めます。そして何より、そこで得た耳の痛い指摘を、自己成長のために素直に取り入れていきます。この姿勢の差こそが、上昇を続ける人と、その場にとどまる人とを分けていくのです。
そして、これは特別な資産をお持ちの方だけの話ではありません。私たちもまた、AIを単なる「相談相手」として使うのではなく、ときに立場を変えてもらう――批判者として、あるいは異なる専門家として向き合ってもらうことができます。
同じツールでありながら、問いの立て方一つで得られるものは正反対になります。承認に満たされた心地よさにとどまるか、不快さをあえて招き入れて前へ進むか。
その小さな習慣の差が、長い時間をかけて、人生の大きな違いへとつながっていくのだと、私は考えています。







