500万円超でもスズキ車が売れる理由

F:日本での反応はいかがですか。コミコミの乗り出し価格は最上級グレードだと500万円を超えてくる。スズキ車としてはかなりお高い値段です。既存のスズキ客もウッと戸惑う価格ですよね。

大:日本でも、見込んでいたよりは良いです。もともとは50代以上ぐらいで、お金や時間に少し余裕のある方を想定していたのですが、蓋を開けてみると30代から70代ぐらいまで満遍なく買っていただいています。特定のコア年齢層があるのではなく、かなり幅広いです。地域にしてもそれは言えて、都心部に偏っているわけではありません。いろいろな地域に散らばっています。乗り換えですか? スズキ車からの乗り換えが多いと言えば多いのですが、他社さんからの乗り換えの方も、もちろんいらっしゃいます。(日産の)リーフから乗り換えてくださる方も複数いらっしゃいました。

 リーフはちょうど2代目から3代目に切り替わるタイミングでもありますので、2代目をそろそろ乗り換えようかな……という方がe VITARAも候補に入れてくださっているのかなと思います。

F:同じEVで他社のリーフからの乗り換え。これはうれしいですね。EVを既に乗って、長所も短所も知り尽くしている人が、次の選択肢としてe VITARAを見ているわけですから。

大:そうですね。そこは素直にうれしいです。

スズキ「e VITARA」スズキ「e VITARA」(広報写真)

「これが本当にスズキなのか」e VITARAの着地点

 スズキ車からの乗り換えもある。他社EVからの乗り換えもある。年齢も30代から70代まで幅広く、地域も偏っていない。

 静かで重厚な挙動。e VITARAに乗ったとき、誠に失礼ながら「これが本当にスズキなのか」と思いました。

 トヨタと組み、BluE Nexusの技術を使い、BYDのLFPバッテリーを搭載する。それをインドで組み立て、世界へ向けて輸出する。これ以上ないグローバルです。

 しかし最後に残るのは、やはり"スズキらしさ"。

 怖がらせない。重くしすぎない。航続距離の不安を減らす。暑い国、寒い国、それぞれに合わせる。そして、従来からのスズキのお客さんもちゃんと乗れるクルマにする。スズキ初の量産BEVとして、e VITARAはとても良い位置に着地したのではないかと思います。

 次号は、EVと言えば、このクルマ。本家本元の日産・リーフの試乗記をお送りします。それではみなさまごきげんよう。

(フェルディナント・ヤマグチ)