「“言語化”疲れで、“言語化”という言葉にモヤモヤする」
「即答するよりじっくり考えるほうが大事なのでは?」
「別に“口下手”のままでもいいじゃないか!」…
など、まったく新しいコミュ力を説いた書籍『言語化だけじゃ伝わんない –––– 絵を描くように「考える・伝える」技術』が発売された。著者でイラストレーターのヤギワタル氏は、これまで200冊以上の書籍でイラストや装画を担当してきて、今回が初の単著となる。本書では、昨今の「言語化ブーム」に対して警鐘を鳴らし、「言語化“以外”に目を向けること」をイラストレーターならではの視点で面白く解説している。本記事では、その中からビジネスパーソンにも役立つノウハウとして紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

大人になってから「友達」を増やす
「大人になると友達ができない」
そう感じている人は多いでしょう。
学生時代は自然に仲良くなれたのに、社会人になると、人間関係がどこか仕事用になっていく。
毎日会っている人はいる。
連絡を取る人もいる。
でも、「友達」と呼べるかと言われると、少し迷う。
『言語化だけじゃ伝わんない』では、その理由について、「人は言葉で人間関係に線を引いてしまうからだ」と語られています。
孔子は「知り合い」を「友だち」と呼んでいた
本書では、『論語』の有名な一節が紹介されています。
「朋あり遠方より来る」
孔子が、「友だちが遠方から来てくれて嬉しかった」と喜ぶくだりです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
ここで面白いのは、「友だち」という言葉の使い方です。
本書では、さらにこう続きます。
孔子と相手との間柄は、同じものを学び、それについて議論しあえる関係です。
いまなら「学友」と呼ばれる関係です。
別に一緒にバーベキューをしなくても、カラオケに行かなくても、友だちと呼べる。
「知り合い」と呼んで友達に含まないことも、「友だち」にすることもできる。
まとめ方は、人それぞれです。
ただまとめれば、「友だち」と「友だちじゃない」の間に線を引くことになるのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
これは、とても重要な視点です。
つまり、「友達」とは、絶対的な関係ではない。
どこに線を引くかで変わるものなのです。
大人は「知り合い」を増やしすぎている
子どもの頃は、そこまで細かく分類していませんでした。
毎日一緒にいる。話す。遊ぶ。それだけで「友達」だった。
ですが大人になると、同僚、取引先、知人、ママ友、仕事関係、顔見知り……と、人間関係に細かいラベルを貼るようになります。
すると、本来なら「友達」と呼べた関係まで、「ただの知り合い」に変わってしまうのです。
友達を増やす方法は、実はシンプル
本書では、最後にこう語られています。
「知り合い」と「友だち」の間の線を引き直すだけだからです。
ところが、先にも書いたように、言葉はラベルのような特徴があります。
「友だち」や「知り合い」という言葉を使うということは、人間関係にもラベルを貼っているということです。
一度ラベルをぺたっと貼ってしまうと、剥がすのは一苦労です。
「先輩」と呼んでいた人を「友だち」と呼ぶことに抵抗を感じるのはその一例です。
だからこそ、言葉の取り扱いには注意が必要です。
一度ラベルを貼ってしまうと、すぐには剥がすことができなくなるからです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
これは、大人の人間関係をかなりラクにしてくれる考え方です。
「友達を増やそう」と思うと難しく感じる。
ですが実際には、「すでにいる人を、友達として扱ってみる」だけなのかもしれません。
毎回会うと話が弾む人。価値観が近い人。安心して話せる人。
そういう人を、「知り合い」の箱に閉じ込め続ける必要はないのです。
「言葉」で固定されてしまう
『言語化だけじゃ伝わんない』は、「言葉には、人間関係を固定する力がある」と教えてくれます。
だからこそ、ラベルを貼りすぎない。
「この人はこういう関係」と決めつけすぎない。
そのほうが、人との距離は自然に近づいていくのかもしれません。
大人になってから友達を増やす方法は、意外とシンプルです。
「知り合い」という言葉で引いていた線を、少しだけ動かしてみる。それだけなのです。
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない –––– 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。








