どうすればお金をかけずに、売上や利益をもっと増やせるのか? この切実なお悩みに答えるのが、人気の販促コンサルタント・岡本達彦氏の最新刊『客単価アップ大事典「つい買ってしまう」販促の仕掛け75』(ダイヤモンド社刊)です。同書は、「行動経済学×現場目線」で「つい買いたくなる」販促の仕掛けとは何かを言語化した初の書。本書が提示するのは、「お客様の購買行動そのものを変える設計とは?」です。どうすれば、「利益が残る経営」へと変われるのか? 本連載では、『客単価アップ大事典』に収録しきれなかった事例の中から、現場ですぐに導入でき、成果につながりやすい客単価アップの仕掛けを厳選してご紹介していきます。
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成績そのものより、
「誰かと比べた自分」が気になる
学習アプリで問題を解き終えた後、「あなたは全国で上位12%です」と表示される。あるいは資格スクールの模試結果に、点数だけでなく「同じ講座を受講する中での順位」が併記されている。
正解や偏差値だけを見せれば十分なはずなのに、なぜわざわざ「他の受講者と比べてどうか」という情報を、あえて添えているのでしょうか。
実は、この「順位表示」は、単に成績を客観的に伝えるための機能ではありません。人が「自分の実力」よりも「他人との比較」に強く反応してしまう心理を利用し、学習を継続させるための、計算された仕掛けなのです。
人は、絶対的な評価より「他人との差」で自分を測る
(社会的比較)
人は自分の能力や成果を評価するとき、明確な基準がない場合、無意識に「他の人と比べてどうか」という基準を用いる傾向があります。これは「社会的比較」と呼ばれる心理で、特に自分より少し上のレベルにいる相手と比べる「上方比較」は、強い刺激と行動意欲を生み出すことが知られています。
「正答率80%」という絶対的な数字だけでは、それが良いのか悪いのか判断がつきにくく、感情も動きにくいものです。
しかし「上位10%」と示された瞬間、「自分は上位1割に入っている」という達成感、あるいは「あと少しで上位5%に入れる」という悔しさが生まれ、次の学習へと駆り立てられます。
「順位」は、終わりのない目標を生み出す
(相対評価による目標の再生成)
もう一つの理由は、順位という指標が「達成しても終わらない」目標であることです。
「テキストを1冊終える」といった絶対的な目標は、達成した瞬間にモチベーションの供給源が途切れてしまいます。
しかし「全国順位」は、他の受講者の学習状況によって常に変動し続けるため、一度目標を達成しても、翌週にはまた新しい目標(順位)が生まれます。
この「終わらない相対的な目標」があることで、お客様は一つの区切りで学習をやめることなく、継続的にアプリやスクールへアクセスし続ける状態が作られるのです。
他の業種でも使える
「相対評価の可視化」設計
絶対評価だけでなく、他者との比較を可視化することで継続利用を促すこの手法は、他の業種にも応用できます。
・フィットネスジムのトレーニングアプリ:
消費カロリーや運動時間の記録に加えて「同世代・同性別での上位順位」を表示し、他の会員との比較で継続意欲を高める
・家計簿アプリ:
支出額の記録だけでなく「同年代・同世帯人数での節約上位ランキング」を提示し、貯蓄行動を後押しする
・営業研修や社内競争制度:
個人の成約数だけでなく「同期入社内での順位」をあわせて共有し、日々の営業活動への意欲を引き出す
まとめ
学習アプリや資格スクールが「全国順位」や「上位10%」を表示するのは、単に成績を詳しく伝えるためではありません。
・「社会的比較」により、絶対的な点数だけでは生まれにくい感情(達成感や悔しさ)を引き出し
・「相対評価」という終わりのない指標により、一つの目標を達成しても次の目標が自動的に生まれ続ける状態を作っている
という、他者との比較を可視化することで、お客様自身が自発的に学習を続けたくなる環境を設計した販促戦略なのです。
販促コンサルタント
現場目線ですぐ使えるマーケティングを伝える第一人者。
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