「気づけば過去の後悔や先々の不安ばかり考えて、頭が休まらない」――その原因は、意識が「いまここ」から離れていることにあるのかもしれない。睡眠、集中力、ストレス、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネスを日本で最も広めたベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その内容に最新研究と音源を加えた『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』が刊行された。本書には、脳を休める基本となる「マインドフルネス呼吸法」のやり方も書かれている。今回は、米国で30年以上診療を続ける現役の医師、著者の久賀谷亮氏のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)

【精神科医が教える】「心が折れない人」がやっている小さな習慣・ベスト1Photo: Adobe Stock

呼吸に注意を向ける

――『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』には、脳を休める最高の方法としてマインドフルネスが紹介されています。初心者がマインドフルネスを実践したい場合、まずは何からやればいいでしょうか。

久賀谷亮氏(以下、久賀谷):基本のマインドフルネス呼吸法を解説しますので、ぜひやってみてください。

まず基本姿勢をとります。椅子に楽に腰掛け、背筋を軽く伸ばして背もたれから離してください。「背中はシャッキリ、お腹はゆったり」がコツです。

手は太ももの上に置き、足の裏を地面にぺたりとつけます。目は閉じてもいいし、開けるなら2メートルくらい先をぼんやり見るイメージです。

そのままの姿勢で、「呼吸」に注意を向けます。鼻を通る空気の感覚、空気を吸い込むにつれて胸が膨らむ感じ、お腹が持ち上がる感覚などを意識してみてください。

――深呼吸をするということですか?

久賀谷:いいえ、深呼吸とは違います。

呼吸をコントロールしようとしたり、変えようとしたりする必要はありません。自然に起きるままにまかせましょう。

呼吸の深さや、吸う息と吐く息の温度の違い、呼吸と呼吸のあいだにある短い切れ目など、細かなことに好奇心を持って観察してみてください。

呼吸は「いまここ」への錨

久賀谷:脳の疲労の多くは、心が「いまここ」から離れ、過去への後悔や未来への不安に縛られることから生まれます。

だからこそ、意識を「現在」に引き戻す練習が必要なのです。呼吸は、意識を「いまここ」につなぎとめるための「錨(いかり)」になります。

――呼吸が錨になるのですね。途中で雑念が浮かんだらどうすればいいですか?

久賀谷:もし途中で別の考えが浮かんできても、それは自然なことなので自分を責めないでください。

気づいたら、やさしく、ゆっくりと、また呼吸に注意を戻すだけでいいのです。

これは「心のストレッチ」のようなものです。私たちの脳は、放っておくと現在以外のことばかりに向かってしまうので、あえて現在のほうに意識をストレッチするのです。

繰り返すことで疲れづらい心を作っていくことができます。

毎日続けることが大切

――1日にどれくらいやれば効果があるのでしょうか?

久賀谷:1日5分でも10分でもいいので、毎日続けることが大切です。脳は習慣を好むので、同じ時間、同じ場所で行うとより効果的ですよ。毎朝起きたあと、あるいは昼休みなど、自分のライフスタイルに合わせて無理なく取り入れてみてください。