ロシアのウクライナ侵攻を読み解く「ハートランド」の地政学、侵攻の長期化が世界インフレと円安株高を招いた理由写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

ハートランドを軸とするロシアの国家拡張の歴史

 ロシアにとっては、安全保障上、ウクライナをその影響下に置いておく必要がある。そのため、ロシアのウクライナ侵攻は長期化し、結果として、世界の金融市場に対して大きな影響を与えている。ロシアの周辺国との対立については、ユーラシア大陸の中央部であるハートランドの存在と、それを巡るロシアの歴史が大きく関わっている。

 ハートランドは欧州からアジアにかけて位置し、広大であり、それだけに資源エネルギーや食糧の生産に恵まれている。ロシアはその大部分を支配するが、北に北極海、東にシベリア、南部にタクラマカン砂漠やゴビ砂漠、そしてカスピ海や黒海がある。このため、国を拡張させようとすると、西方にある東欧に進出せざるを得ない。東欧に進出すると、必然的に欧州諸国と敵対することになる。

 さらに、ハートランドは北極海を除き内陸に位置するため、ロシアは不凍港を求めて南に進出せざるを得ない。それらが、ロシアの主要軍港であるバルト海のカリーニングラード、黒海のセバストポリ(クリミア半島)、日本海のウラジオストックである。このため、日露戦争やソ連の満州侵攻などにおいては、日本とも厳しく対峙した。

 ロシアの源流はウクライナにある。9世紀に、スカンジナビア半島にルーツを持ち、「櫓の漕ぎ手(ルーシ)」と呼ばれたバイキング(ノルマン人)が南下した。882年にキーウを都とし、ロシア民族初の国家であるキエフ大公国が成立した。キエフ大公国はロシアの国としてのルーツであるともいえる。