タンス預金がオワコンといえるワケ(1)
税務署より先に、「インフレ」が資産を食い潰す

 タンス預金の最大の盲点は、「額面が減らないから安全」という致命的な錯覚にあります。

 仮に1000万円を自宅の金庫に眠らせておけば、20年後も数字の上では「1000万円」のままです。しかし、それで買えるモノの量は確実に減少しているはずです。

 インフレとは、現金の数字は変わらなくても、その「購買力」が目減りしていく現象です。隠しているお金は1円も増えません。ただじっと息を潜めている間に、実質的な価値だけが静かに、確実に削り取られていく。

 タンス預金とは、「国に税金を払う代わりに、インフレに合法的に搾取されている資産である」と肝に銘じるべきです。

タンス預金がオワコンといえるワケ(2)
決済の電子化が加速、現金はますます不便に……

 経済産業省によれば、日本のキャッシュレス決済比率は、2025年にすでに58.0%に到達しました。もはや「キャッシュレス化はこれから進む」というフェーズではなく、主戦場はデジタルへ移りつつあります。政府は将来的なキャッシュレス比率80%を視野に入れています。

 買い物、送金、納税、給与受取、投資、あらゆる行政手続きがデジタルでシームレスにつながる世界で、大量の紙幣を自宅に眠らせておく意味がどこにあるでしょうか。

 利便性はゼロ。利息もつかなければ、ポイントも還元されない。移動の手間と、強盗・窃盗リスク、さらには火災のリスクだけは一丁前に背負い込む……。

 これはもはや「安全資産」などではなく、「使いにくく、守りにくく、勝手に減っていくお荷物資産」です。

タンス預金がオワコンといえるワケ(3)
「現金=怪しいヤツ」と見なされる!?

 そして、最も見落としてはいけない決定打が、日銀が進めているCBDC(中央銀行デジタル通貨)、いわゆる「デジタル円」の足音です。

 日銀はすでにパイロット実験を進めており、民間事業者と技術面や制度面の検証を着々と行っています。中央銀行自らが「将来の選択肢としての検証を進めている」わけです。

 20年後に紙の現金が完全に消滅するとまでは言いません。しかし、銀行預金、キャッシュレス決済、そして「デジタル円」を含めた「お金をデジタルで動かすこと」がますます主流になることは間違いないでしょう。

 そうなった時、1万円札の束を抱えて生きる人がどう見えるか。