また、それでは世界との摩擦を生む一方になる。アメリカ、欧州、アジア各国は中国の過剰生産を警戒し、関税・補助金規制・輸入制限を次々と強めている。中国は新たな輸出先を探すしかなく、その国と摩擦を起こし、さらに別の輸出先を探すというチキンレースを繰り広げている。

 輸出が強すぎるために、国内改革を先送りできてしまうことこそが、最大の構造的問題なのである。また、そのことが多くの問題を生み出すという悪循環に陥っている。

「外貨を抱え込むだけ」の輸出国家

 2024年、中国の貿易黒字は7680億ドルと世界最大だったが、第一次所得収支は数十億ドルの赤字に陥っている。一方、日本の貿易収支は近年しばしば赤字になるが、第一次所得収支の黒字は約2673億ドルと世界トップクラスを誇る。

 この対比が、両国の本質的な差を物語っている。日本は海外資産から所得を得る国である。中国は輸出で外貨を稼ぎ、その外貨を国家が抱え込む国である。

 日本の対外純資産が相対的に伸び悩んだ背景として、実は日本株が外国人に買われ始めていることがある。外国人や外国企業が日本株で含み益を抱えれば、それだけ日本の「対外負債」が増えることになるため、差し引きの対外純資産は減るのが当然だ。「3位転落」といっても、日本の株高というポジティブな要因が大きな理由になっている以上、がっかりするような話ではない。

 中国の対外純資産「世界2位」というニュースは、中国経済が絶好調で、日本経済が不調だから起こったのではない。むしろ、中国における国内消費の弱さ・資本規制・国家主導の外貨管理・企業収益力の限界が複合した結果である。

 対外純資産で日本を超えた中国は、たしかに巨大な債権国になった。しかしそれは「豊かな債権国」ではなく、外貨を政府がプールしなければやっていけない不安定さの賜物である。

 数字の裏に潜む構造を読まないかぎり、中国経済の本質は見えてこない。

(評論家、翻訳家、千代田区議会議員 白川 司)