
ダイヤモンドZAi NISA投信グランプリ2026の「日本株総合部門」で最優秀賞を受賞した投資信託が「キャッシュフロー経営評価オープン[愛称:選球眼]」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)だ。直近5年の日本株市場では東証改革や高配当株ブームという追い風が吹き、多くの割安株型の投信が躍進。選球眼は、その中でもピカイチの成績を収めた。PBRやPERだけでは測れない、真の割安株を見抜く「眼」の正体について、ファンドマネージャーの景張文征さんに詳しく聞いた。(朝日希新、ダイヤモンド・ザイ編集部)
PBR・PERの死角を突く!
「3つの評価軸」でお宝銘柄を発掘
――いわゆる“割安株”が選球眼の投資対象ですが、他の割安株型の投資信託とは違う独特の選定基準があるのではと推察します。中長期でTOPIXを上回る好成績を収めた、銘柄選びのポイントを教えてください。
景張文征(けい・ちょうぶんせい)さん●三井住友トラスト・アセットマネジメント ポートフォリオマネージャー。2017年に三井住友信託銀行に入社。2018年10月に三井住友トラスト・アセットマネジメントに出向。日本株のポートフォリオマネージャーとしてバリュー株を中心に9年以上の運用経験を有する。
景 「選球眼」の強みは、三井住友トラスト・アセットマネジメントが誇る「組織力」を最大限に活用しているところです。企業アナリストによる独自の業績予想と、30年以上の歴史を持つクオンツチームの定量的な分析を掛け合わせ、財務三表(BS、PL、CF)のすべてで割安度の評価を行っています。
まずBS(貸借対照表)では、PBR(株価純資産倍率)をベースに、資産の側面から割安度を評価します。次にPL(損益計算書)では、PER(株価収益率)に加え、複数の利益関連指標を組み合わせることで、企業の稼ぐ力に対する割安度を測定。最後にCF(キャッシュフロー計算書)では、弊社独自の「キャッシュフロー・バリュエーションモデル」を用いて、企業の現金創出力の側面から割安度を計っています。
この、「キャッシュフロー・バリュエーションモデル」が選球眼の武器です。将来のフリーキャッシュフロー*を予測し、そこから「企業本来の価値」を算出。企業本来の価値に対して現在の株価が低ければ、割安と考えます。
*営業利益から税金や設備投資額などを引いた、企業の手元に残るお金。
――「キャッシュフロー・バリュエーションモデル」を用いることで、どんな銘柄を見つけることができるのでしょうか?
景 潤沢なフリーキャッシュフローを持つ企業は「株主還元の強化」や「将来の成長に向けた事業投資」を行う余力が大きく、企業価値が見直される可能性を秘めています。つまり、「キャッシュフロー・バリュエーションモデル」によって、「PBRやPERなど一般的な指標からみると割安ではないが、将来の現金創出力で見れば実はお宝銘柄」を、いち早く見つけ出すことができるのです。
象徴的な例が、2025年5月に購入したソフトバンクグループ(9984)です。当時は、他社と比較してPERやPBRがそれほど割安とは言い切れない水準でした。しかし、弊社独自のフリーキャッシュフロー予測から企業価値を算出したところ、明らかに割安であるという結果が出たのです。
当時は生成AI市場の拡大で、ソフトバンクグループ傘下のアームやオープンAIの企業価値の拡大も見込まれていました。このように、定量的なフリーキャッシュフロー評価に、定性的な「カタリスト(株価上昇のきっかけとなる材料)」が加わり、投資することを決めました。結果、2025年11月に売却するまでの半年間で株価は3倍へと跳ね上がりました。
――定量的な評価だけでなく、定性的な「カタリスト(株価上昇のきっかけとなる材料)」も重視されているのですね。




