村井 実は、一般的な投資家がしているような定性的な評価はほぼしていません。ファンドマネージャーと聞くと、「足繁く会社を訪問し、経営陣から良いニュースを引き出そうとする」姿を思い浮かべる人もいるでしょう。しかし、Jリートの場合、物件ごとの収支データは詳細に開示されています。賃料はマクロ環境や立地、スペックで決まるもので、社長の熱意を聞いたからといって変わるものではありません。むしろ、定性的な情報に触れると、どうしても感情や期待が入り込み、本来見るべき「数字」が歪められてしまうこともあります。そのため、取材に時間を費やすよりも、公開されている膨大なデータを正しいフレームワークに基づいて分析する時間に充てることが、良い成績につながると考えています。

――組入銘柄数を見ると、35銘柄前後と、Jリート全銘柄(約60銘柄)の約半分に厳選されています。

村井 Jリートは複数の不動産に投資する商品です。35銘柄程度に絞っているとはいえ、分散投資が効いているので、リスクが極端に高いということはない、と考えています。ただし、特定の業種に偏りすぎないよう、細心の注意を払っています。単純に割安順に買っていくと特定の業種ばかりになってしまうため、オフィス、物流、住宅といったセクター配分が市場平均から大きく外れないよう、プラスマイナス3%程度の範囲内で調整しています。この枠組みの中で、銘柄選別によって勝負をしています。

AI時代だからこそ際立つ「不動産の希少性」
注目セクターは物流施設

――Jリート市場の今後の見通しについて教えてください。

村井 長期的な視点では、世の中のデジタル化が加速するからこそ、物理的な不動産の「希少性」が際立ってくると考えています。

 昨今、AIの進化により、デジタル上のサービスや資産はいくらでも生み出せる(供給を増やせる)時代になっています。しかし、リアルな土地という「物理的な資源」は、どれだけAIが進化しても供給を増やすことができず、その希少性は揺るぎません。特に、クオリティの高い一等地の不動産は、デジタル時代において価値が目減りしない「勝ち組資産」になると考えています。

――注目しているセクターと警戒しているセクターはありますか。

村井 割安感のある物流施設に注目しています。AIやテクノロジーの進化の追い風を受けるセクターでもあります。今後、自動運転トラックなどが普及すれば、物流のコストが下がり、効率は跳ね上がります。そうなった時、配送の拠点となる高度な物流施設の重要性はますます高まるでしょう。

 一方で、中長期的には「オフィス」に慎重な見方をしています。将来の働き方の変化というリスクが価格に十分に織り込まれていないと感じるからです。わずかな上昇を狙って、不透明な下落リスクを無視するのは得策ではありません。私たちは、こうしたリスクとリターンのバランスを常に見極め、着実な成果を積み上げていきたいと考えています。


◆リート部門 最優秀賞
「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド(資産成長型)」とは

Jリートとは、投資家から集めた資金で不動産を保有・管理し、そこから得られる家賃収入などを投資家に分配する金融商品。当投信は、「NAV倍率」や「AFFOイールド」といった指標を用い、本質的価値に対して割安なJリート銘柄に投資する。下落局面での耐性に強みあり。日本のJリート投信の中だけでなく、フィデリティ・インターナショナルが運用・販売するアクティブ型投信の中でトップのインフォメーション・レシオ
を記録。
*ベンチマーク(東証リート指数など基準となる指数)に対して、どれだけ効率よくプラスの利益(超過リターン)を稼げたか。

本記事は2026年6月10日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。