日経平均株価高騰の“真実”
政府介入でも為替レートは円安に

 日経平均株価は、昨年秋ごろから上昇が顕著になり、昨年10月27日には、終値で5万円台、今年4月27日に6万円台を付けた後も、5月7日は6.2万円台、13日には6.3万円台となるなど上昇を続けてきた。

 ただ、高騰する株価の中身を詳しく見ると、必ずしも日本経済全体の状況を反映したものとはいえない。日経平均株価は大きく上昇しているものの、日本株の全てが均等に上昇しているわけではなく、上昇銘柄はAI・半導体関連の一部銘柄に強く偏っているからだ。

 日経平均は225社の株価を基に計算される指数だが、株価そのものが高い銘柄ほど、指数に与える影響が大きい。このため日経平均株価は、AI・半導体関連の「値がさ株」と呼ばれる銘柄の値動きに大きな影響を受けている。

 具体的には、アドバンテスト(半導体が設計通りに正常に動作するかを検査する半導体テスターで世界トップシェアの会社)、東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、ファーストリテイリングなど、一部の値がさ株の動きが指数全体を大きく動かしている。

 したがって、日経平均は大きく上昇しているが、日本株全体が均等に上昇しているわけではなく、AI・半導体関連の一部銘柄に強く偏った上昇だ。

 例えば、ソフトバンクグループが5月13日に発表した26年3月期決算は、純利益が5兆22億円で前年の4.3倍に拡大した。純利益が5兆円を超えるのは日本企業で初めてだが、米オープンAIへの投資利益が増えたことが大きく寄与した。

 こうした偏りのため、日経平均株価とTOPIXとでは差が生じている。日経平均をTOPIXで割った「NT倍率」は、4月下旬に16倍を超え、記録的水準に達した。

 だが一方で、長期金利はこの間もずっと上昇基調だった。高市政権が、「危機管理・成長投資」での財政支出増や、物価対策として「食料品の消費税ゼロ」を打ち出したが、財源がはっきりしない懸念や財政規律の弛緩の予想が市場で生まれたからだ。

 しかも為替レートは円安になっている。通常であれば金利が上昇すれば、その国の通貨は増価するはずだが、政府の無謀な財政運営のために国の競争力が低下することが懸念されて、通貨安が起きるのだ。

 円安に対して、日本政府は為替介入を行った。一時的な効果はあったものの、円安傾向を反転させるほどの効果はなかった。

 為替レートに対する影響という点を見れば、トラスショックやTACOショック時のような、長期金利上昇の影響が日本でも起きたと考えることができる。