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長期金利が一時2.49%を付け、1997年6月以来およそ29年ぶりの高水準となりました。連載『ビジネスパーソンに必須!経済&ビジネスの最重要キーワード』の今回のキーワードは長期金利。そもそも長期金利とは何か。なぜ国債価格が下がると金利は上がるのか。金利と債券価格の基本的な仕組み、金利変動要因の基本的な仕組みを確認した上で、タテホショックや資金運用部ショック、VaRショックなど過去の急変局面を振り返ります。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
10年国債利回り=「長期金利」
景気、物価、財政などの状況を反映
今回のキーワードは「長期金利」です。
4月13日、日本の長期金利は一時2.49%を付けました。これは1997年6月以来、およそ29年ぶりの高い水準です。99年2月の「資金運用部ショック」の際に付けた2.44%も上回りました。
長期金利とは、文字通りには期間の長い金利ですが、日本の市場では一般に10年国債利回りを指します。より正確には、償還まで10年の国債のうち、その時点で中心的に取引される新発10年国債の利回りです。4月13日に長期金利が2.49%を付けたというのは、この10年国債利回りがその水準まで上昇したということです。
では、短期金利は何を指すのでしょうか。
市場では、一般に期間1年以内の金利を短期金利と呼びます。代表例は、日本銀行が政策金利とする無担保コール翌日物金利です。このほか、銀行間で資金を貸し借りする際の目安となるTIBOR(東京銀行間取引金利)の3カ月物なども短期金利の代表的な指標です。
一方で、市場では2年債や5年債の利回りを中期の金利、20年、30年、40年国債(超長期国債)の利回りを超長期の金利としてみることが多くなっています。金利は期間ごとに動き方が異なり、どの年限が強く動くかによって、市場が何を織り込んでいるかも変わってきます。
ところで、利回りとは何でしょうか。かなり単純化して説明すると、債券から得られる収益を、その債券を買った価格で割った百分率です。
例えば、額面100万円、利率2%の国債を考えます。発行時に100万円で買えば、1年間に2万円の利息を受け取れます。表面利率は2%です。
しかし、国債の利回りは銀行の定期預金とはメカニズムが全く異なります。銀行の定期預金ならば、満期まで預けていれば最初に設定した利率通りの利回りとなります。ところが、国債は、そうはなりません。
というのも、国債は発行後、市場で価格が変動するからです。例えば、今後もっと金利が上がると考える人が増えたなら、2%の利息しか付かない国債を額面通りの100万円では買いたくないという人が増えますよね。
そこで価格が80万円まで下がれば、年間2万円の利息を80万円に対して受け取ることになるので、利回りは2.5%になります。国債価格が下がると利回りは上がるのです。
逆に、今後は金利が下がるとみる人が増えると、2%の利息が付く国債は相対的に魅力が高まります。100万円を超える価格でも買いたい人が出てきます。仮に200万円で買えば、年間2万円の利息に対する利回りは1%になります。国債価格が上がると利回りは下がるわけです。
このように、債券市場では、価格の下落は金利上昇、価格の上昇は金利低下と理解すると分かりやすくなります。
景気も国債の利回りを考える上で重要な要素です。一般に金利は、景気が良くなると上がりやすくなります。企業や家計の資金需要が強まり、お金に対する需要が増えるからです。逆に悪くなると金利は下がりやすくなります。
物価上昇も金利を押し上げる要因になります。インフレが続くと、お金を持っていても実質的な価値が目減りします。そのため、お金の貸し手は目減りしないようにより高い金利で貸そうとします。
加えて、中央銀行(日本でいえば日本銀行)もインフレを抑制するために金利を引き上げます。金利を上げればその分お金を借りて投資や消費をしようという人が減り、モノやサービスの需要を抑えることができるからです。
足元で長期金利が上昇している背景にも、こうしたインフレ懸念があります。中東情勢の緊迫化を受けて原油価格が上昇し、エネルギー高を通じて物価が押し上げられるとの見方が強まっています。
ただし、それだけではありません。市場では、財政拡大への警戒感やそれに伴う国債需給悪化への不安も金利上昇要因として意識されています。
ここまでが、国債の金利とは何か、利回りを変動させる要因とは何かの解説です。国債という響きから、元本が保証され、価格は動かない安全なものとの印象を持つ人もいるかもしれません。確かに、発行時に買って償還まで保有すれば、原則として額面で償還されます。しかし、ここまで解説してきたように、社会の状況をビビッドに反映する債券でもあります。途中で売買する場合には市場価格が動くため、損益が生じます。
実際、過去には国債関連の取引で大きな損失が発生し、金利急騰が市場に衝撃を与えた局面もありました。それぞれの局面に固有の名前が付くほど、ドラマチックな展開でした。次ページでは、これまでの金利の急騰例を中心に長期金利の動きを振り返ります。







