米ニューヨークのマンハッタン南部にある会員制クラブ「マックスウェル・ソーシャル」は、まるでオリガルヒ(新興財閥)の書斎だ。ここにテック業界の若者が集まり、「キャビア・バンプ」に興じていた。親指と人さし指の間に乗せた少量の魚卵を吸い込み、冷えた「ベルヴェデール」ウオッカで流し込むというものだ。この「酒宴」の前は、ミカンやラベンダー、シダーウッドの香りをしみ込ませた細長い紙で顔を仰いでいた。さながらフランス王家の王太子だ。そして隣の人と固い握手を交わし、お気に入りの大規模言語モデル(LLM)について軽口をたたき合った。これらはいずれも、テック企業の創業者を対象とした4時間の「エチケット教室」の一コマだ。3月のある火曜日の午後、ベンチャーキャピタル(VC)のスロー・ベンチャーズが主催した。米メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)のようになることを目指す約50人が集まって人脈づくりにいそしみ、接待や資金調達、ワインのペアリングの作法のほか、「空気の読み方」などを学んだ。雰囲気は打ち解けた仲間内の集まりだが、目的は遊びではない。この人工知能(AI)時代に、ソフトスキルが重要になっていることが背景にある。
テック起業家、AI時代でもエチケット教室に殺到
コーディングと力強いリーダーシップで名を上げた創業者たちが、このAI時代にソフトスキルがかつてなく重要になっていることを実感している
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