1.混雑を避ける工夫をしている

 通勤ストレスを減らすうえで、まず効果が大きいのは、混雑する時間帯を少しでも避けることです。

 もちろん、誰もが自由に通勤時間を変えられるわけではありません。始業時間が固定されている人もいれば、育児や介護、家族の予定で朝の時間が決まっている人もいます。ですから、「満員電車に乗る人は仕事ができない」と言いたいわけではありません。

 ただ、もし10分、20分でも時間をずらせるなら、その工夫は十分に意味があります。早めに出社する、フレックスタイムを使って少し遅く出る、混みやすい車両を避ける、比較的空いている乗車位置を見つける。こうした小さな調整だけでも、通勤時の消耗はかなり変わります。

 アグネス・スコット大学のジェニファー・ルーカスらは、フレックスタイムを利用している通勤者52名と、利用していない通勤者71名を比較しました。この研究は主に車通勤者を対象にしたものですが、フレックスタイムを利用している人のほうが、運転ストレスや時間に追われる感覚が低く、通勤満足度が高い傾向が見られました。

 ここから考えると、通勤時間を自分で調整できることは、通勤ストレスを減らすうえで重要だと言えそうです。気分よく仕事を始めたいなら、できる範囲で混雑を避ける工夫をしておくことが大切です。

2.無理に「疲れる席」に座らない

 空いている席を見つけると、とりあえず座りたくなるものです。しかし、席によっては、座ったほうがかえって疲れることもあります。

 たとえば、両隣に人が座っている真ん中の席です。身体を小さくして座らなければならず、肩や腕が触れないように気を遣います。自由に身動きも取りにくく、知らず知らずのうちに緊張してしまいます。

 コーネル大学のゲリー・エヴァンスらは、ラッシュアワー時の鉄道通勤者139名を対象に、混雑やパーソナルスペースの侵害がストレスにどう関係するかを調べました。目的地に着いた時点で唾液サンプルを採取し、ストレス反応の指標として用いられることがあるコルチゾール濃度などを分析したのです。

 その結果、混雑やパーソナルスペースの侵害は、通勤者のストレス反応と関係することが示されました。特に、周囲に挟まれるような座席環境は、ストレスを高めやすいと考えられます。

 だから、わずかな隙間に無理に体を押し込んでまで座る必要はありません。座ること自体が目的になってしまうと、かえって疲れることがあります。場合によっては、少し立っていたほうが身体の逃げ場があり、気楽に過ごせることもあるでしょう。

 大事なのは、座るか立つかではなく、身体と気持ちに余裕がある場所を選ぶことです。手すりに近い場所、背中を預けられる場所、乗り降りの流れを妨げにくい場所など、自分にとって疲れにくい立ち位置を見つけておくと、通勤の負担はかなり軽くなります。