以前のように、家族を大切にしてくれる夫に戻ってほしい。その一心で、限界まで頑張り続けていた妻が見たものは酒に溺れ、育児や家事は妻任せだった夫。以前のように、家族を大切にしてくれる夫に戻ってほしい。その一心で、限界まで頑張り続けていた妻が見たものは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

筆者は、吉本でお笑いコンビ「オオカミ少年」として活動する傍ら、探偵事務所の代表を務めています。探偵歴十数年。数多くの調査の中で、私が最も胸を痛めるのは、「信じることをやめられなかった人」からの相談です。今回お伝えするのは、結婚して10年、家族を支え続けた妻がたった3文字で崩れ落ちた物語です。(探偵芸人 オオカミ少年・片岡正徳/登場人物は全て仮名)

家族のために10年間尽くしてきた妻
大手メーカーから中小企業に転職した夫は

 澤登知佐(さわのぼりちさ・35歳)さんが事務所のドアを開けたのは、4月の肌寒い夕方でした。

 パリッとしたジャケット姿でしたが、目の下には深い疲労の色がにじんでいました。

オオカミ少年・片岡正徳オオカミ少年・片岡正徳(かたおか・まさのり)
芸人(吉本興業所属)、構成作家として「オールスター感謝祭」「さんま・玉緒のあんたの夢をかなえたろかSP」「ドラマでクイズ!THEキリヌキ」「笑神様は突然に…」などに関わる。
片岡探偵事務所代表取締役。

 席に着いてもしばらく言葉が出ず、静かな沈黙だけが流れていました。

 やがて知佐さんは、手元のハンカチを強く握りながら、小さな声で言いました。

「片岡さん、私はどうしたらいいんでしょうか」

 その声は、助けを求めるというより、限界まで耐え続けた人の声でした。

 夫の澤登啓人(さわのぼりけいと・39歳)さんは、以前は大手メーカーに勤めていました。

 仕事熱心で、休日には家族で出かけることを何より楽しみにする人だったそうです。

 結婚当初は共働きでしたが、家事は知佐さんが大半を担っていました。

 子どもが生まれたのは結婚5年目のことです。

 1年間の育休・産休期間の後、短時間労働に働き方を変えてからは、家事と育児は知佐さんが変わらず担っていました。

 啓人さんは、激務と人間関係のストレスから精神的に不調を抱え、中小企業へ転職しました。

 そこから、少しずつ家庭が変わっていったのです。