相手が挑発的な言葉や侮蔑的な言葉を言ったからといって、「何を!?」と応じてしまうのはよくありません。お互いにギスギスしてきて、険悪な雰囲気が生まれるだけです。将来的にもその人との関係は非常に悪くなります。
その点、うつむいてポロポロと涙を流したらどうなるでしょう。同情や哀れみの気持ちが喚起されて、一瞬のうちに相手の態度が変わることが期待できます。よほど冷酷な人でなければ、悲しい顔をしている人にさらに強く当たる人はいないでしょう。
涙のある顔ほど
助けてあげたくなる
ドイツにあるブレーメン大学のデニス・キュスター氏は、女性の顔写真をデジタル加工して涙の有無などを操作し、それぞれの写真を見た人に「どれくらい助けたい気持ちになるか」を尋ねました。
その結果を分析すると、涙のある顔ほど「助けてあげたい」という気持ちが高まることを確認しています。涙には、人の共感や援助意欲を引き出す強い力があるのです。
「そんなに都合よく涙を流すことなんてできないよ」と思われるかもしれませんが、涙を流すのはそんなに難しくもありません。しばらくまばたきを我慢していれば、だれでも目が乾いて自然に涙が出てきます。
俳優の人なら、いつでも涙が流せるようなトレーニングをしているかもしれませんが、私たちもいざというときに涙が流せるよう、こっそりトレーニングをしておくのも良いかもしれませんね。
自分なりに、「○○のエピソードを思い出すと、私はすぐに涙腺が緩む」というエピソードを決めておくのもよいでしょう。「私は“火垂るの墓”の映画を思い出すとすぐに泣く」とか「愛猫が死んだときのことを思い出すと、いつでも悲しくなる」というエピソードがあれば、涙を流すのに苦労をせずにすみます。
投票日の直前になると、涙を流しながら「助けてください!」と有権者に訴える政治家もいます。自分の理念や政策を訴えるのではなく、泣き落としに頼るのは何となく「みっともない」と思われるかもしれませんが、涙が人の共感を引き出しやすいことは心理学研究で示されていることなのです。
イラッとしたときにはケンカ腰になるのではなく、むしろみっともない姿をさらしたほうがいい、ということは覚えておきましょう。
Hendriks, M. C. P., Croon, M. A., & Vingerhoets, A. J. J. M. 2008 Social reactions to adult crying: The help soliciting function of tears. Journal of Social Psychology ,148, 22-41.
Kuster, D. 2018 Social effects of tears and small pupils are mediated by felt sadness: An evolutionary view. Evolutionary Psychology ,16 doi:10.1177/1474704918761104.
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