旅行や趣味に使ったお金は、何年にもわたってあなたを幸せにし続ける――。私たちはつい、支出の価値を「その場で得られる満足感」だけで判断してしまう。しかし、人生を幸福にする「お金の使い方」について説いたベストセラー『DIE WITH ZERO』の著者ビル・パーキンスは「そうではない」と伝える。経験とは、その時に得られる喜びだけではなく、その後も繰り返し「記憶の配当」を与えてくれるという。今回は、本書から、その一部を抜粋して紹介する。

老後に後悔しない人だけがやっている「お金の使い方」ベスト1Photo: Adobe Stock

「経験」にお金を使うほど、雪だるま式に幸せになれる

 記憶の配当は、とても強力で価値がある。

 IT企業もそれをうまく活用している。フェイスブックやグーグルフォトを使っていると、「3年前の今日、こんなことがありました」というメッセージと共に、当時の写真が表示されることがある。ユーザーは懐かしい気持ちになり、その写真に写っている誰かに連絡したくなる。そして、このアプリをますます使いたいと思うようになる。

 一昔前は、友人や家族との、「ねえ、あのときのこと覚えてる?」という会話がきっかけとなって昔のことをよく思い出したものだった。だが、今ではSNSがその役割を果たし、人々の記憶の配当を刺激して収益を上げている。

 あなたも当然、記憶の配当から価値を引き出せる。だがそのためには、まずは思い出づくりから始めなければならない。

 とても楽しかった休暇旅行のことを思い出してほしい。その旅行についてあなたは、友人に話したり、自分一人で旅の回想をしたり、一緒に旅した人と思い出話に耽ったり、同じような旅行の計画を立てている誰かにアドバイスをしたりしたはずだ。

 こんなふうに、元の経験から副次的に生まれる経験は、まさに記憶の配当だと言える。その経験は、積み重なっていく。

 忘れがたい旅を振り返ることで、どれくらい多く、豊かな時間を過ごせただろうか。繰り返し思い出すことで、元の経験よりも多くの喜びが得られることだってある。

 金を払って得られるのは、その経験だけではない。その経験が残りの人生でもたらす喜び、つまり記憶の配当も含まれているのだ。

(本原稿は、ビル・パーキンス著、児島修訳『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』からの抜粋です)

ビル・パーキンス

1969年、アメリカテキサス州ヒューストン生まれ。アメリカ領ヴァージン諸島を拠点とするコンサルティング会社BrisaMaxホールディングスCEO。アイオワ大学を卒業後、ウォールストリートで働いたのち、エネルギー分野のトレーダーとして成功を収める。現在は、1億2000万ドル超の資産を抱えるヘッジファンドのマネージャーでありながら、ハリウッド映画プロデューサー、ポーカープレーヤーなど、さまざまな分野に活躍の場を広げている。