米カード残高199兆円、延滞に追い込まれる人々ALEXANDRA CITRIN-SAFADI/WSJ

 ひっきりなしに患者が訪れる米ニューイングランド地方の病院で運営責任者として一日中働いたあと、キャサリン・クラークさんは夜も眠れずに自問する日々を過ごしていた。私はどこで間違ったのだろう、と。

 19万4000ドル(約3100万円)の給料があるにもかかわらず、「チェース・サファイア」のクレジットカードの残高は1万5000ドルにまで膨らんでいた。毎月の最低支払額572ドルを払う余裕はあったが、金利が26%では、借金はほとんど減らなかった。

 多くの米国人と同様、42歳のクラークさんはインフレと数十年ぶりの高金利というダブルパンチによって経済的に追い詰められた。節約のため友人との外出を控えたり、通っているジムで受付係としてアルバイトをすることを考えたりした。自分の身に何か恐ろしいことが起きて、両親が積み上がったクレジットカードの請求書を発見するところを想像した。

「体重との闘いによく似ていると感じた」とクラークさんは話した。「一晩で一気にそうなるわけではない。徐々に進行して、ある日突然、『ズボンのサイズが合わない』と驚くことになる」

 ニューヨーク連邦準備銀行が5月に公表した今年第1四半期のデータによると、支払いが90日以上遅れたクレジットカード残高の割合は13.12%に上昇した。これは15年ぶりの高水準で、2008年の金融危機の影響が残っていた時期以降で最悪だ。

 同連銀によると、第1四半期の米国のクレジットカード残高は総額1兆2500億ドルに上り、前年同期の1兆1800億ドルから増加した。これは第1四半期としては1999年の集計開始以来、最高の水準だ。

 ドナルド・トランプ米大統領は物価高騰による経済的圧迫をさほど重要視していない。米国人の経済状況がイランとの戦争を終わらせる動機になるかと5月半ばに聞かれると、「全く(動機には)ならない」と答えた。

 一方で、連邦議会の共和党議員は11月の中間選挙を控え、経済に対する有権者の不安への対応を迫られている。