中東ショックとAIブームの“綱引き”、世界経済の脆弱性を高める「経済の2極化」リスクPhoto:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

世界経済の現在の構図
中東ショック vs AIブーム

 オックスフォード・エコノミクスの最新予測では、世界経済の成長率は昨年の3%から今年は2.4%にまで一旦減速するが、来年は3%にまで成長率を戻す。これはコロナ前10年間の平均(3.2%)を下回るが、トランプ関税、イラン紛争によるエネルギー価格高騰と相次ぐショックの大きさを考えると、予想を上回る底堅さだ。

 世界経済の底堅さを支えるのは米国を中心としたAI投資ブームだ。当面は中東情勢によるマイナスの力とAI投資ブームのプラスの力の引っ張り合いという構図が続く。

 心配なのはトランプ関税、原油ショック、AI投資ブームのいずれもが勝ち組と負け組の差を一段と拡大させ、「経済の2極化」に拍車をかけることだ。

 米国を中心に世界経済は勝ち組への依存度を高めている。AI投資で潤う大企業や一部先進国、AIブームに牽引された株高とその資産効果による高所得層の消費が景気を牽引する。

 一方で、AI投資の恩恵は一部に限られて経済全体へは十分に波及せず、相次ぐ供給インフレに苦しむ低所得家計や中小企業は疲弊するばかりだ。

 「経済の2極化」が進む世界経済はGDP成長率が示すよりも潜在的な脆弱性を高めている点には注意が必要だ。