「子どもの偏食」はそのままにしていいのだろうか?
「おはしを正しくもつ」「自分で歯を磨く」「整理整頓をする」「ありがとうを伝える」…など、小学校入学前後に知っておきたい93のおやくそくを紹介した書籍『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』が大好評発売中だ。「小学校入学準備にぴったり」「生活の基本でありながら、これまでどう教えればいいのかわからなかったので助かる」「一生使える知識やマナーが学べる」など多くの口コミが寄せられている。生活のきほんや言葉づかい、心の守り方、学校での過ごし方まで子どもたちの毎日に欠かせないテーマを幅広く網羅しているのが特徴だ。
本記事では、教育評論家の親野智可等氏にインタビューを実施。本書の内容をもとに、子育て中の親が疑問を抱きやすいテーマについて話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・佐藤里咲)
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なぜ「偏食」になってしまうのか?
――好き嫌いが激しいお子さんがいるご家庭も多いですよね。ですが、「食べなさい」と強く言うほど逆効果になることもあると思います。親はどんな関わり方をすると良いのでしょうか?
親野智可等(以下、親野) 「好き嫌いが激しい子に対して、『食べなさい』と強く言うほど逆効果になる」。
これはまさにその通りです。
まず知っておいてほしいのは、好き嫌いが多い子と少ない子がいるのは、かなり生まれつきの要素が大きいということです。
実際、イギリスの研究でも、そのことがわかっています。
同じ家庭で育っていても、何でも平気で食べる子もいれば、好き嫌いがとても多い子もいます。
そもそも子どもというのは、どんな子でも苦いものや酸っぱいものを苦手に感じやすいんです。
なぜかというと、苦いものには毒が含まれている可能性があるし、酸っぱいものは腐っている可能性があるからです。
大人は経験があるので、「これは食べても大丈夫な苦さだな」「これは腐っていないな」と判断できます。でも子どもにはその経験がありません。
ですから、安全のために子どもは本能的に苦いものや酸っぱいものを避けるようにできているんです。
――たしかに、「ピーマン」や「たまねぎ」、「トマト」などは苦手な子どもが多いですよね。
親野 さらに、見た目がぐちゃっとした料理も苦手な子が少なくありません。
ナス料理のように黒っぽくてドロッとしたものを見ると、「腐っているかもしれない」と本能的に警戒してブレーキがかかるからです。
ただ、そのブレーキの強さには個人差があります。
偏食が多い子は、この「身を守るためのブレーキ」がとても強く働くタイプなんです。
ですから、無理に食べさせようとするのはおすすめできません。
もちろん、普通にしていれば、多くの場合は経験を重ねるなかで少しずつ食べられるようになります。
思春期を過ぎて大人になる頃には、「これは大丈夫な食べ物だ」と自分で判断できるようになるので、本能的なブレーキも弱まっていきます。
ところが、小さい頃に無理やり食べさせられると、「これは嫌な食べ物だ」「苦しい思いをした食べ物だ」という記憶が残ってしまいます。
実際に、私の知っている人の中にも、小学校時代にバナナが苦手だったのに、先生に無理やり食べさせられたことが強い心の傷になってしまい、大人になった今でも食べられないという人がいます。
ですから、本人の意思に反して無理やり食べさせることは避けたほうがいいと思います。
「偏食」緩和のために親ができること
――無理やり食べさせることは厳禁ですね……。でも親としては少しでも好き嫌いをなくしてほしいと思ってしまうところもあります。何かできることはありますか?
親野 まず一つは、大人がおいしそうに食べることです。
ただし、「こんなにおいしいのに、なんで食べないの?」と嫌味を言うのは逆効果です。
何も言わずに、おいしそうに食べる姿を見せるだけで十分です。
二つ目は、一緒に育てたり調理したりすることです。
実際に、オクラが苦手だった子が家庭菜園で育てたオクラなら食べられたという例があります。また、お母さんと一緒に料理をしたことで、それまで苦手だった食材を食べられるようになった子もいます。
三つ目は、調理の工夫です。
切り方、味付け、見た目、盛り付け方など調理の仕方を工夫して少しでも食べやすいようにすることも大事です。
四つ目は、食べ物について知る機会をつくることです。
「この野菜にはこんな栄養があるよ」「食べると体が元気になるよ」といったことを、絵本や動画を通して伝えていくのも効果的です。
『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』にも、「いろいろな おかずを たべてみよう」という項目があります。保護者向けのアドバイスには、「『おかずは色が違うように、栄養も違うよ。それぞれ違う魔法の力があるんだよ』と、楽しく丁寧に教えてあげてください」と書いてありますね。
『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用拡大画像表示
②きいろ、 あか、 みどりの おかずを たべてみよう。
③ほんの ひとくちだけでも いいよ。
④どんな あじか まわりの ひとに はなしてみよう。
『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用
親野 こうした働きかけはしてあげてもいいと思います。
無理は禁物
親野 ただ、それでも無理なら、あまりこだわる必要はありません。栄養は別の食品からもとれますからね。
また、「一口だけ食べてみる」というのも、子どもによっては難しいこともあります。
食べられる人にとっては一口かもしれません。
でも、本当に苦手な人にとっては、一口どころの話ではないんです。
私自身、鶏肉が苦手なんですが、特に鶏皮は生理的に受け付けません。
「一口だけ」と言われても、一口だから食べられるというものではないんです。
もちろん、その一言がきっかけで食べられるようになる子もいます。
でも、その一方で強い嫌悪感やトラウマにつながるリスクもあります。
だからこそ、この問題も結局は子どもによります。
大切なのは、「食べさせること」ではなく、その子の気持ちや特性を理解しながら、無理のない形で少しずつ経験を重ねていくことではないでしょうか。
(本記事は『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』の発売を記念したオリジナル記事です)









