
「ダイヤモンドZAi NISA投信グランプリ」の新興国株部門で最優秀賞に輝いた「ピクテ新興国インカム株式ファンド(1年決算型)」。4年連続受賞という安定感の背景には、高配当株を軸とした銘柄選びと、世界各地に張り巡らされた情報網がある。ピクテ・ジャパンのプロダクト・スペシャリスト、嘉嶋吉宏さんに、好調な運用を支える仕組みを聞いた。(須賀彩子、ダイヤモンド・ザイ編集部)
リーマン・ショック直前に誕生
それでも「配当の力」で着実に成長
――長期にわたって、安定的に好成績を達成しています。
ピクテ・ジャパンのプロダクト・スペシャリスト嘉嶋吉宏さん
嘉嶋 新興国株型の投資信託は2006~07年に相次いで登場しましたが、その後のリーマン・ショックで姿を消した商品も少なくありません。株価だけでなく新興国通貨も下落し、投資家が離れていったためです。
このファンドの原型となる毎月決算型は、2008年1月に設定されました。決して恵まれた船出ではありませんでしたが、運用を継続し着実にリターンを積み重ねてきました。設定来のリターンは約2.8倍(分配金再投資後、2026年6月末)です。その原動力の一つが「配当の力」です。
――新興国の高配当株に投資する投資信託は他にもありますが、運用の特徴を教えてください。
嘉嶋 新興国の高配当株ファンドは、アジア中心の商品が多いのですが、このファンドは南米や南アフリカなども含め、世界中の新興国を幅広く投資対象としている点が特徴です。
直近では、MSCI新興国株価指数の平均配当利回りが約2%であるのに対し、組入銘柄の予想平均配当利回りは約4.1%(2026年6月末)と、ほぼ2倍の水準です。
新興国株は値動きの大きい資産です。しかし、過去25年のデータを見ると、新興国高配当株のリターンの約半分は配当によるもので、下落局面ではそれがクッションとして働いてきました。また、配当利回りが高い銘柄を選ぶことは、結果的に割安な株を買うことにもつながり、値上がり益も期待できます。
高配当だけでは買わない
「配当を続けられる企業」を見抜く
――高配当株など割安な銘柄は、株価が低迷したままの「バリュートラップ(割安の罠)」に陥ることがあります。どう避けていますか。
嘉嶋 単に配当利回りが高いだけではなく、その企業が配当を出し続けられるか、さらに増配できるか、ということが重要になります。そうした企業には、安定した利益成長と健全な財務体質、株主に真摯に向き合う姿勢、透明性の高い情報開示やコーポレートガバナンスへの取り組み、といった共通点があります。
つまり成長投資と株主還元のバランスを取れる「優良企業」を選んでいます。新興国の上場企業は玉石混交ですから、ここを丁寧に見極めることが、運用成果につながります。
――配当の持続可能性は、具体的にどう判断するのでしょうか。
嘉嶋 過去の配当実績や業績推移を確認するのはもちろんですが、特に重視しているのが経営陣の姿勢です。企業を直接取材し、今後の配当方針を聞いたうえで判断します。
過去に無配や減配があった銘柄には、定量評価でペナルティーを課し、組み入れにくくする仕組みも設けています。
ただし、例外もあります。たとえば、一時無配となったギリシャ企業で、株価が極めて割安で、財務体質が改善し、業績が上向いているケースがありました。経営陣との面談でも前向きな姿勢を確認できたため、ペナルティーを加味したうえで、成長性と配当利回りを評価して組み入れました。
割安な局面で買い、配当と値上がり益の両方を取りながら、割高になれば売却する。このプロセスを愚直に繰り返しています。






