株式投資では、「どの銘柄を選ぶか」以上に、「どのタイミングで売買するか」がリターンを大きく左右します。では、株で利益を出し続けている人たちは、どんなタイミングで売り買いを判断しているのでしょうか? 株のプロの考え方をクイズ形式で学べるとして、多くの個人投資家から支持を集めているのが『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。著者は、2000億円超を運用した元ファンドマネジャー、楽天証券の窪田真之さん。この記事では、「チャートを使った売買判断のポイント」を紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

株で資産を大きく増やす人に共通する「2つの考え方」Photo: Adobe Stock

チャートの投資判断「2つの鉄則」

 株式投資で資産を増やせる人と、なかなか増やせない人。その差はどこにあるのでしょうか。

 窪田さんは、チャートを使った売買判断には、まず身につけるべき「2つの鉄則」があると言います。

① 値下がりしている銘柄を持ち続けない(損失を拡大させない)

② 値上がりした銘柄をすぐに売らない(利益を伸ばす)

 言葉を変えると、「損切りは早く、益出しは遅く」ということです。

 ところが、多くの個人投資家はこれと逆の行動を取ってしまいます。

 含み損のある銘柄は「そのうち戻るだろう」と期待して持ち続け、含み益のある銘柄は「利益が消える前に」と早々に売ってしまうのです。

 こうした行動の積み重ねが、投資成績の差となって表れます。

チャートで判断してみよう

 では実際に、チャートを見ながら考えてみましょう。

 あなたは成長株として期待されていたある企業の株を、8ヵ月前に4,300円で100株購入しました。

 その後、株価は順調に上昇し、一時は5,250円まで上昇。「このままどこまで上がるのだろう」と期待していたところ、突如、株価は急落し、あっという間に3,600円まで下がってしまいました。

 そんなとき、ある専門家がメディアでこう語っています。「悪材料は一時的なもの。むしろ今は絶好の買い場でしょう」。

 さてあなたなら、どんな投資判断を下しますか。選択肢は「買い増し・損切り・様子見」の3つです。

株で資産を大きく増やす人に共通する「2つの考え方」8ヵ月前に4300円で買った株。あなたはどうする?

 窪田さんの答えは明確です。

 損切り。なぜなら、チャートには売りを示すシグナルがいくつも出ているからです。

 高値圏でデッドクロスが発生し、移動平均線は右肩下がりへ転換。さらに株価は直近安値を割り込んでいます。

 市場では「買いたい人」よりも「売りたい人」の勢いが強くなっているのです。

 実はこの事例は実在する企業のチャートを使ったものですが、その後も株価は下落を続けました。専門家の言葉を信じて持ち続けた投資家は、さらに資産を減らす結果となったのです。

株で資産を大きく増やす人に共通する「2つの考え方」その後株価は下落の一途

 チャートが教えてくれるのは、「今この瞬間、市場では買い手と売り手のどちらが優勢なのか」という事実です。

 株価が出来高を伴って大きく上昇しているときは、多くの投資家が新しい好材料を評価している可能性があります。

 反対に、出来高を伴って急落しているときは、何らかの悪材料を市場が織り込み始めている可能性があります。

 窪田さんは、こうしたチャートの変化を「アーリー・ファンダメンタルズ」と呼んでいます。

 企業業績を分析するアナリストが変化に気づくよりも早く、市場参加者の売買が企業の変化を株価に映し出している場合があるからです。

 もちろん、チャートだけで将来がわかるわけではありません。しかし、「何が起こるか」を予測するのではなく、「今、市場で何が起こっているか」を把握するためのツールとして使うことで、投資判断の精度は大きく向上します。