意志の力の重要性は、起業家たちの伝記にも数多く見られる。彼らのアイデアは、最初は何十人、何百人もの投資家に拒絶される。作家も同じで、原稿が出版社に何度も突き返されるのは珍しくない。
象徴的なのが、1980年代の若きゲアハルト・シュレーダーの逸話だ。彼は首相官邸の門を揺さぶりながら叫んだという。「俺はここに入りたいんだ!」真偽のほどはさておき、このエピソードが語り継がれるのは、意志の力そのものを象徴しているからだ。意志の力は、諦めるか、耐え抜くか。敗北か、勝利か。その分岐点を決める決定的な要因なのである。
「失敗は成功へのステップだ」と
前を向いたヤニス・アデトクンボ
人生においてもキャリアにおいても、勝利と敗北はいずれも成長に欠かせない要素である。敗北の経験は痛みを伴うが、そこには計り知れない学びがある。敗北するたびに、私たちは何が機能しないかを深く理解し、レジリエンスを鍛え、新たな戦略を編み出すことができる。
一方で、勝利は満足や承認をもたらすだけでなく、自信を強化し、成功のチャンスをかぎ分ける力を高めてくれる。敗北による「論理的な学習」と、勝利による「精神的な報酬」。この二つが歯車のように噛み合うことで、人は初めて迷いなく前進する力を得るのである。
その好例がスポーツの世界である。一流のアスリートは勝利と敗北の双方から貪欲に栄養を吸収する。NBAのスター、ヤニス・アデトクンボがプレーオフ敗退後の記者会見で示した姿勢は、今なお語り継がれている。
「今シーズンは失敗だったか」と記者から問われたとき、彼は毅然として「スポーツに失敗などない。あるのは成功へ続くステップだけだ」と答えたのだ。
昇進しなかった年を失敗とは呼ばないことに例えて、彼はそのことを説明した。すべての局面は、より大きな目標へと続く長い旅の一部であり、無意味な足踏みなど一つとしてないのである。
ジョージ・フォアマンは
敗北を糧に最高のチャンピオンに
「史上最強」と言えばモハメド・アリの代名詞だが、ジョージ・フォアマンもまた、それに勝るとも劣らない伝説的な存在である。







