何度も失敗を繰り返す起業家とノーミスの起業家、ベンチャーキャピタルを味方につけたのは…成功するビジネスパーソンの絶対条件写真はイメージです Photo:PIXTA

多くの人は、ミスを「悪」だと決めつけがちだ。しかし、成功した起業家たちを見ていくと、挫折と幸福の意外な関係が見えてきた。失敗は、本当に人生のマイナスなのだろうか?※本稿は、ブリストル大学心理科学部発達心理学教授のブルース・フッド著、櫻井祐子訳『LIFE UNIVERSITY もし大学教授がよい人生を教えたら』(サンマーク出版)の一部を抜粋・編集したものです。

快楽に囲まれていても
幸せは長続きしない

 何かのできごとや経験から得られる幸せを最大化したいなら、今自分のしていることに注意を集中させれば、ポジティブ感情を高めることができる。

 ポジティブ心理学の「セイバリング(深く味わうこと)」という手法は、心地よい経験を最大限に楽しむためのテクニックだ。

 多忙にかまけていると、脳が順応してしまった身近な楽しみを意識して味わうこともなくなる。

 この好例が、食事だ。

 食べる楽しみを取り戻すためには、食事にもっと時間をかけて、かすかな味や食感に注意を払い、じっくり味わおう。できるだけゆっくり楽しもう。ペースを緩めて、一口一口をかみしめよう。

 しかし、脳がつねに比較し、順応しているせいで、幸せは長続きせず、どんな楽しさや喜びを感じてもすぐに慣れてしまう。そして、さらに大きな快楽を際限なく求め続ける「快楽の踏み車」に乗ってしまう(注1)。

 幸せという「快楽」を求めて「踏み車」を回し続けるが、いつまで経ってもそれは得られないのだ。

(注1)Brickman, P. and Campbell, D. T. (1971), ‘Hedonic relativism and planning the good society’ in M. H.Apley (ed.), Adaptation Level Theory: A Symposium (New York:Academic Press)