特に、クラスが落ち着かない、子どもたちの私語がやまない、子どもや保護者との信頼関係が築けないなどの「教師側の窮地」に陥ったときほど、解決を急ぐあまり「風」を感じ取ることが難しくなることに注意が必要です。

「風」は強すぎると
「圧」となり子を追いつめる

 大声での強い指導は、子どもたちの行動を瞬間的に止め、表情を強張らせます。動きや表情だけでなく思考も止まります。教師がその場に「鋭い風」や「尖った風」を吹かせているからです。

「風」は瞬間的なものです。この「風」を継続的に吹かせ続けていくと、その教師の「持ち味」になっていきます。ここでは、それを「圧(pressure)」と呼ぶことにします。

「学校には圧が強い教師と弱い教師がいる」と看破した俵原正仁氏によれば、圧が強いタイプは、よく言えば「エネルギーに満ちている」、悪く言えば「厳しい、一緒にいると疲れる」という基本的な特性があると言います。圧が弱いタイプは、よく言えば「優しい、子どもに寄り添う」、悪く言えば「優柔不断、何をしても叱られない」と感じさせる要素が前面に出ていると指摘しています(俵原正仁『「崩壊フラグ」を見抜け!必ずうまくいくクラスのつくり方』、学陽書房、2019年)。

「風」も「圧」も目に見えるわけではなく、またつかめるわけでもありません。しかし、子どもたちの教室での振る舞いに大きな影響をもたらしています。それだけではなく、子どもの心にトラウマを残す危険性すらあります。

「強い圧」と「弱い圧」
どちらかが正しいわけではない

 これまでの職員室では、「風」や「圧」の問題になると、とかく「あの先生は厳しすぎる。だから子どもたちが委縮する」とか「あの先生は甘すぎる。だから子どもたちがつけあがる」といったように、極端な対立軸で語られることが少なくありませんでした。

 しかし筆者は、強い圧と弱い圧の間に壁をつくり出すことは、かえって問題を見えにくくしているように感じます。教室では「どちらかが正しい」と断言することはできず、子どもの状況に合わせて自覚的に使いこなすという発想が求められるからです。

 そこで、それぞれの圧のプラス面とマイナス面を整理します。