強い圧は「危機回避」と「抑止」の2つの場面で効果を発揮します。

 危ないときに子どもの行動を即座に止めるためには「待って!」「ストップ!」「危ない!」と強く鋭い声を響かせなければなりません。これで「危機回避」ができます。

 また、人権に関することやいじめにつながりそうな関わりをとがめるときに「ちょっと!」「ねえ、それ!」「今の何?」と強めに注意を促すことで、子どもはその関わりのまずさに気づけることがあります。これが「抑止」です。

 しかし、危機回避や抑止が達成できた時点で、その圧をぐっと下げる必要があります。強い圧にとどまり続けていると、威圧的・支配的になり、子どもたちを服従させるスタイルになってしまうからです。常に気を張り詰める姿は周囲を寄せつけなくなっていきます。表面的には静かで落ち着いたクラスになりますが、子どもたちは主体性を奪われています。「自分には統率力がある」という勘違いにつながることも少なくありません。

 目的は子どもの行動を止めることです。それができたら、すぐに圧を下げて「そうだったよね」「守ってね」と安心感で包み込む必要があります。

子どもを安心させる「弱い圧」には
見逃せないマイナス面がある

 圧を弱くすることは相手や周囲に安心感をもたらす効果があります。特に悩みや心配事を打ち明けやすくするときには傾聴的な態度で子どもに寄り添う姿勢を示す必要がありますから、当然ながら圧は下がります。

 しかし、それが「なんでもやっていい」「好き勝手に振る舞っていい」という誤った意味合いのメッセージとして受け取られかねないという性質も持ち合わせています。優しさはときに優柔不断さとして誤解されることもあります。

 子どもたちの状況に合わせて、最も強い圧から最も弱い圧まで可変的に示せることが求められると言えそうです。