自分のペースで勉強できる
オンライン塾や家庭教師を活用

 母は私に中学受験の話を自然に持ちかけた。試験はある意味、レースであり、レースに勝つのに容赦は必要ない。私を無理のない範囲内で限界まで勉強させるにふさわしい口実だった。私は当時、今よりももっと自惚れていた。世界を知らず自らが天才であると心から信じ込んでいたフシがあった。これは好都合である。友人が少ないので、どのくらい勉強ができるか、どのくらいの勉強時間が標準なのか、どのくらいの努力が普通なのか、というのを全く知らなかったし、そもそも自分にそれが当てはまるとも思っていなかった。

 かくして、私の中学受験は始まった。

 母はまず、私をオンラインの塾に放り込んだ。一応、近くの塾も見に行ったのだが、学校と同じように、自分のペースで勉強ができなかったためか、私はあまり好まなかったらしい。

 一方、オンラインの塾では、少しは自分のペースで勉強することができた。塾の講義はオンライン会議上で行われ、問題を解くときは、教師に個別のプライベートチャットで解答を送って、答え合わせをしてもらう方式だったから、ペースを自分で調節できる。プライベートチャットでは友達とも会話できるので、サボりたいときにはダベる相手を見つけられる。これはなかなかな好条件だった。オンライン塾では、主に社会と国語の授業を受講していたと記憶している。

 しかしながら、自分のペースで勉強させつつも、強制的にそれを前に進めなければいられないという性癖を持つ私の面倒くささに最も合う授業形態はやはり、家庭教師ということになる。

医大生の家庭教師に出会い
勉強が効率的になった

 母は家庭教師マッチングサイトである家庭教師を見つけてきた。当時、某医大の1年生だったD氏である。

 第1に、彼女は極めて面白い人物であった。面白い、というのも大きく分けて2つの意味がある語だが、私が「面白い話」やら「面白い人物」だとかいう時はだいたい「興味深い・好奇心をそそられる」に近いニュアンスをもつ「面白い」のことであり、この場合にもそれが当てはまる。面白いかどうか、という要素は私にとっては極めて大事な要素で、そうでないとその人に関心を持てなくなってしまう。