わが子がもっと伸びる! 中高一貫校&塾&小学校【2027年入試版】#2

小学校低学年から中学受験塾に通う子どもが近年増加しており、昨秋にはついに業界初の未就学児(年長児)を対象とした中学受験コースを新設する大手塾まで登場した。では、低学年からの塾通いで合格率が上がるのか。特集『わが子がもっと伸びる!中高一貫校&塾&小学校【2027年入試版】』の#2では、中学受験塾における東の横綱であるSAPIX(サピックス)の広野雅明教育事業本部本部長と、西の横綱である浜学園の松本茂学園長が、この「低学年からの塾通い」をテーマに対談。難関校合格率との相関性から入塾時期の見極め方、入塾テストの突破法、家庭学習のコツ、そして春休みの過ごし方まで熱く語り尽くした。今回は特別対談の「後編」をお届けする。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

>>対談前編『開成中学の合格率は「低学年からの塾通い」で上がる?SAPIX×浜学園、東西最強中学受験塾の重鎮2人が“通塾低年齢化のリアル”を徹底的に語り合う!【対談前編】』はこちら

低学年の家庭学習のポイントとは?
子よりも親が「ルール」を守るべし

――小学校低学年の家庭での学習法についてお聞きします。低学年になるほど通塾の日数が少ないため、親の指導がより大切になってくると思います。しかし、「前編」でお話しいただいた偏差値の捉え方もそうですが、指導法だけでなく感情面でも難しいと感じます。親は子どもの勉強をどう見守っていけばいいのでしょうか。

広野雅明・SAPIX(サピックス)教育事業本部本部長 ポイントは二つあり、まず一つ目は「量よりルール」。例えばサピックスの場合、小学校1年生から6年生まで「基礎力トレーニング」という毎日決まった問題数を解く小冊子をお配りしています。低学年であれば1日10分もあれば問題を解くことができるものです。

 非常に大切なことは、それを毎日決めた時間に解くという「習慣」です。漢字練習も短時間で構わないので「漢字は毎日、この時間に○文字書く」と決めて、それをしっかり続けること。このような習慣は、上の学年になればなるほどなくなりますから。だからこそ、短い時間だけど毎日集中して机に向かう時間はとても大事です。

 もう一つは「やりっ放しにしない」ということ。塾の授業でできなかった問題がありますし、家庭学習用の「翌週までこれをやりましょう」という課題があります。子どもは新しい問題をやることには全く抵抗はないのですが、間違えた問題をもう一度やり直すことはだいたい嫌がるんですよ。すでに自分が一回やったものですから。

 低学年の間はさほど量が多くないので、そうした授業で間違えた問題や課題を、例えば1日30分やると決めたらそれを続けることが肝要です。

松本茂・浜学園学園長 広野先生がおっしゃった「ルールを守る」について付け加えると、親は「子どもに守らせよう」と思いがちですが、実は親の方こそルールを守らなければいけないんですよね。「子どもがルールを守ってくれない」と悩む保護者のお話を聞くと、実際は保護者の方がルールを簡単に破っていることが多々あります。

 例えば、先ほどの「30分、勉強しましょう」というルールの下、その日にやらないといけないプリントがあり、子どもに「30分でこれを終わらせましょうね」と言ったとします。子どもは早く終わらせたいですから頑張ってやります。分量や得意、不得意によっては30分より早く終わることがありますよね。それで15分で終わりました、答え合わせもしました、正解もしていました、そしてあと15分時間が余っています、となったときに、親は思い出すわけです。「この間、塾から返ってきたテストのやり直しがまだ終わっていないよね」と。

 これ、親にとっては正しいんですね、やらなければいけないことが残っているから。でも、子どもは何を思うかというと、「頑張ってやっても“お代わり”が来る」と。次からどうし始めるかというと、できるだけ時間切れが起こるようにグズグズと勉強する。子どもはそうやって身を守るしかなくなるんですよね。

 ですので、やろうと決めたことを決めた時間の中で終わらせればOKというルールをしっかり作ることが大事なのかなと。子どもはその時間の中で頑張る。その代わり、親も我慢しなければいけない。大変でしょうが、ルールを守らなければいけない。親が守らなかったら、子どもはあっという間に守らなくなるので。反抗期が来てから守らせようとしても無理です。

――親の心構え、メンタル面についてもお聞きしまます。「なんでこんなに点数が悪いんだ」と感情的になり、ともすれば低学年の子ども相手でも教育虐待に近いような家庭学習をしている話を実際に聞きますが、これを避けるコツはありますか。

次ページでは、東西のトップ塾の重鎮2人が、親必見の低学年向けの家庭学習のコツや、春休みの過ごし方などを開陳する。