「ビジネス本を読むなんて意識が高すぎる」「自己啓発なんて意味がない」。そんな言葉を聞いて、自分の本棚を人に見せるのが恥ずかしくなったことはないでしょうか。しかし、本当に恥ずかしいのは、人生について考えることなのでしょうか。『世界の果てのカフェ』の一節には、「本を読む意味」を根本から変えてくれる、大切なメッセージがありました。「何度読んでもハッとする」と話題の一冊から、相談者に響いた名言について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「ビジネス本を読むのは恥ずかしい。本棚も見せられない」。それに対する反論・ベスト1Photo: Adobe Stock

ビジネス本を読むのは恥ずかしい?

 私は最近、こんな相談を受けた。

「私はビジネス本が好きです。気になったタイトルの本をよく読んでいます。でも、『ビジネス本を読むのは恥ずかしい』ということを言われます。それを言われると、自分の本棚を人に見せることもできません。どう考えればいいのでしょうか?」

 私はこの相談を聞いて、少しもったいないと感じた。
 確かに世の中には、「自己啓発なんて意味がない」「ビジネス本なんて薄っぺらい」と言う人がいる。

 でも、その人たちは本当に、ビジネス本を読んでいる人と同じ体験をしているのだろうか。
 私は『世界の果てのカフェ』という本のある場面を思い出した。

本は「答え」をくれるものではない

世界の果てのカフェ』には、こんな言葉が出てくる。

「なんの変哲もない、単純な質問に見えるでしょ? だけど、その質問のほんの数文字を変えるだけで、状況が変わるのよ。誰かに聞く質問を、自分に問いかける質問に変えたら……もはや同じ人間ではいられないの。最初の質問を読んでみて。ただし、通りすがりに看板をちらっと見るように、さりげなく読んでほしいの」
――『世界の果てのカフェ』より

 この場面で語られているのは、「あなたはなぜここにいるのか?」という問いだ。
 一見すると、どこにでもありそうな言葉である。

 しかし、本書が伝えたいのは、本の価値は「知識」ではなく、「問い」にあるということだ
 ビジネス本を読む人は、情報を集めているだけではない。
 その一冊をきっかけに、自分自身へ問いを投げかけているのである。

人生を変えるのは「自分ごと」にした瞬間

 続けて、本書にはこんな一節がある。

「そう、それよ。軽く受け止められる質問じゃないわよね。ちらっと見るだけならかまわない。だけど、しっかりと見つめて、吟味して、本気で自分ごととして捉えると……あなたの世界が変わるの」
――『世界の果てのカフェ』より

 私は、この言葉こそビジネス本の本質だと思う。

 同じ本を読んでも、「なるほど」で終わる人もいる。
 一方で、「これは自分のことだ」と受け止める人もいる

 違いは、知識量ではない。
 自分ごととして読めるかどうかである

 だから、「ビジネス本なんて意味がない」と言う人は、もしかすると本の内容を否定しているのではない。

 本を「自分ごと」として読む経験を、まだしていないだけなのかもしれない。

本棚は、恥ずかしいものではない

 相談者は、「本棚を人に見せるのが恥ずかしい」と言っていた。

 しかし私は逆だと思う。
 本棚には、その人が何を学び、何に悩み、どんな人生を送りたいと思ってきたのかが表れる

 それは、単なる本のコレクションではない。
 その人が、自分自身と向き合ってきた歴史である。

 もちろん、ビジネス本を読めば必ず人生が変わるわけではない。
 しかし、本をきっかけに自分へ問いを投げかける人は、少しずつ考え方が変わり、行動が変わり、やがて人生が変わっていく

「恥ずかしい読書」ではなく、「自分と向き合う読書」

 相談者に私はこう伝えた。

「ビジネス本を読んでいることを恥ずかしいと思う必要はありません。恥ずかしいのは、本を読むことではなく、自分の人生について一度も考えようとしないことです」

 本は、答えを押しつけるものではありません。
 自分自身に問いを投げかけるための道具です。

 そして、その問いを本気で自分ごととして受け止めた瞬間から、人は少しずつ変わり始めます。
 だから私は、ビジネス本を読むことを恥ずかしいとは思いません。

 本棚には、その人が「よりよく生きよう」としてきた軌跡が並んでいるのです。

(本稿は、『世界の果てのカフェ』の発売を記念したオリジナル記事です)