「58歳、課長どまり。あのとき起業していれば億万長者だった」。
そんな後悔を支える、ある一言とは?
そんな相談者にすすめたのが、全世界45言語に翻訳され、世界600万
部を突破しているベストセラー『やりたいことが見つかる 世界の果てのカフェ』(ジョン・ストレルキー 著/鹿田昌美 訳)だ。「何度読んでもハッとする」と話題の一冊から、相談者に響いた名言について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「58歳、課長どまり。あのとき起業していれば億万長者だった」。そんな後悔を支える、一言とは?Photo: Adobe Stock

「あのとき起業していれば」という後悔を支える一言

 つい最近、過去の会社の先輩から、こんな相談があった。

「58歳です。昔、20年前に友人から『一緒に起業しないか?』と言われた。けど、私は断った。その後、彼の会社は大成功して、いまや億万長者に。あのとき、なぜ私は一緒に起業できなかったのか。私はまだ今の会社で課長どまり。後悔が止まりません」

 この手の相談は意外と多い。

「あのとき転職していれば」
「あのとき結婚していれば」
「あのとき不動産を買っていれば」

 人生には、無数の「もしも」がある。
 そして年齢を重ねるほど、その「もしも」は増えていく。

 しかし私は、この相談を聞いて『世界の果てのカフェ』という本のある場面を思い出した。

人生には「追いつけなかったウミガメ」がいる

 本書には、ハワイでシュノーケリングをする場面が出てくる。

 主人公は海の中で大きなアオウミガメを見つける。
 一緒に泳ごうと思い、必死に追いかける。
 自分はフィンを履いている。
 人間のほうが推進力もある。
 それなのに、なぜか追いつけない。
 むしろ、ゆったり泳いでいるはずのウミガメは、どんどん遠ざかっていく

 この場面を読んだとき、多くの人は不思議に感じる。

 しかし私は、人生も同じだと思う。
 私たちはいつも誰かを追いかけている

 成功した友人。出世した同期。資産を築いた知人。

 そして追いつけないたびに、「あのとき違う選択をしていれば」と考える。

後悔している人ほど、他人の波を見ている

 ところが、主人公は後になって重要なことに気づく。

 ウミガメは泳ぎが速かったのではない。
 波の使い方が上手かったのだ

 波が向かってくるときは無理をしない。
 流れが来るまで待つ。

 そして波が背中を押してくれる瞬間だけ、大きく前へ進む。
 つまり、自分の力だけで泳いでいたわけではなかった。

 一方、人間のほうは違った。
 波の向きなど考えず、ひたすら足を動かしていた
 だから疲れた。だから追いつけなかった。

 相談者の話を聞いていて思った。
 彼は20年前からずっと、「起業した友人」というウミガメを追いかけ続けている。

 しかし、本当に見るべきだったのは友人ではない。
 自分自身の波だったはずだ

起業しなかったことが失敗とは限らない

 後悔している人は、「起業していたら成功した」と思っている。

 だが、それは誰にもわからない。

 友人と同じ未来になった保証はない。
 途中で会社が潰れていたかもしれない。
 共同創業者と揉めていたかもしれない。
 借金を抱えていたかもしれない。

 私たちは成功した未来だけを見て後悔する
 失敗した未来は想像しない

 だから後悔はどんどん膨らむ。
 しかし本当の問題は、起業しなかったことではない。

 20年間、自分の人生ではなく、友人の人生を見続けてきたことなのだ。

後悔を支える、ある一言

 相談者に私はこう伝えた。

「後悔するのではなく、次の波のことを考えたほうがいいのではないですか?」

 人生には、自分の波がある。
 出世する人もいる。起業する人もいる。転職する人もいる。そのどれが正解かはわからない。

 大事なのは、波に逆らいながら他人を追いかけることではなく、自分に来ている波を見つけることだ。

世界の果てのカフェ』のウミガメが教えてくれるのは、頑張るなということではない。

「自分の流れを見失うな」ということだ。

 58歳からでも遅くない。
 友人の人生を眺めるのをやめて、自分の波を探し始めた瞬間、人生は再び前へ進み始めるのだから。

(本稿は、『世界の果てのカフェ』の発売を記念したオリジナル記事です)