ストレスを感じたとき、あなたにはどんな対処法があるだろうか。とりあえず寝る、お酒を飲む……でも、それで本当に回復できているだろうか。
『会社から期待されている人の習慣115』(ダイヤモンド社)の著者であり、815社・17万3000人の働き方を分析してきた越川慎司氏と、『人生が自動的にうまくいくレッスン』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者であり、精神科医の藤野智哉氏よる対談に、その答えがあった。実は、職場で「ストレスに潰される人」と「メンタルが安定している人」の間には、ある決定的な違いがあるという。「コーヒーを飲む」「動物の動画を見る」。そんなささやかで自分に合ったストレス対処法を知っておくメリットとは?(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・石井一穂)
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メンタルが安定している人は「小さな武器リスト」を持っている
越川慎司(以下、越川) 新刊『人生が自動的にうまくいくレッスン』のなかで、コーピングについて、「小さな武器リストをつくろう」と書いていたのが印象でした。コーピングについて教えていただけますか?
藤野智哉(以下、藤野) コーピングというのは、ストレスを感じたときにそれをどうかわすか、どう回復していくかの具体的な対処法のことです。要はストレス対処法ですね。
このコーピングは、本当に人によって違うし、状況によっても違います。
「上司への怒り」はカラオケで発散できても、「パートナーとのイライラ」はそれでは足りないように、いろんなパターンがあります。
だからコーピングをたくさんもっていることがすごく大事です。
「コーヒーを飲む」とか、「動物の動画をスマホで見る」などの、ささやかなコーピングを山ほどもっておくと、自分のストレス対処のスキルが上がります。
このコーピングを「小さな武器」と本のなかで言っています。
越川 やってみてどうだったかのフィードバックの記録をとっておくのも大事なんですよね?
藤野 そうです。自分の心地よくなりそうなコーピングを書き出してみて、それをストレスが起きたときに試してみて、点数化しておく。
すると、だんだん「このストレスには、このコーピングが効く」というのが、自分でわかるようになってきます。
「エンジン音」と「うまい棒」がお守り
越川 私もこれを読んで実際にやってみたんです。
この1~2ヵ月でどんな時に感情が乱れるか振り返ってみたら、意外だったんですが、出張先のホテルのチェックインで少しイラっとしている自分に気づいたんです。「早く部屋に入らせてよ」という気持ちが出たりする。
このときにどんなコーピングがいいのかを知るために、藤野先生の本にあるワークシートを印刷して、たくさん書き出してみたんです。
そして合っていたのが「オートバイの音を聞く」でした。
僕は趣味がオートバイなんですが、ハーレーのエンジン音とかを聞くとめちゃくちゃ心が落ち着くんですよ。
藤野 なんと(笑)。
越川 早速、実験もしてみました。エンジン音をスマホに入れておいたんです。その後、ホテルにチェックインする機会があったとき、「エンジン音をいつでも聞くことができる」というだけで気分が楽になりました。「イライラしたら、この音を聞けばいいや」と思えて。
これが「小さな武器」の意味なのかなと思いましたね。
藤野 まさにそうなんです。山ほど武器をもっておいて、いざという時にどうしたらいいかを知っているというだけで、お守りになる。「持っているぞ」という安心感がある。
越川 そのほかにも「うまい棒を食べるとご機嫌になる」とかもありました(笑)。だからカバンにうまい棒をもっておくとかもいいかな、と。
藤野 いいですね(笑)。コストがかからずお手軽なところも、いいポイントだと思います。
長期的にメンタルを維持する秘訣
越川 じつは『会社から期待されている人の習慣115』でも、コーピングについて触れている箇所があります。
心理学でも「コーピングの多様性(多様なストレス対処法を持つこと)」はレジリエンス(立ち直る力)を高める要因とされています。
――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』より
なかでも、職場で評価されている人たちでとくに多いのが、「体を動かす習慣」を持っている人でした。
――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』より
ある若手マネージャーは、午前中に15分のウォーキングをし、昼休みに10分の仮眠を取り、週末はテニスで思い切り汗を流すことを習慣にしていました。
このように、1つの解決策に頼るのではなく、複数のストレス解消法を持つことが長期的に強いメンタルを維持する秘訣なのですね。
あなただけの「お守り」を増やすために、まずは次の3つのステップを試してみましょう。
・ステップ1:「コーヒーを飲む」「動画を見る」など、ささやかでコストのかからない行動を書き出してみる
・ステップ2:ストレスを感じた時に試してみて、「どれくらい心が落ち着いたか」を点数化してみる
・ステップ3:「1つの解決策(お酒や睡眠)」だけに頼らず、複数の選択肢をカバンやスマホに忍ばせておく
(本稿は、『会社から期待されている人の習慣115』の著者・越川慎司さんと、『人生が自動的にうまくいくレッスン』の著者・藤野智哉さんによる対談をもとにした書き下ろし記事です)
株式会社クロスリバー 代表取締役社長
日系通信会社や外資ベンチャーなどを経て2005年にマイクロソフト米国本社へ入社。その後、日本マイクロソフトの役員としてExcelやPowerPointなどの事業責任者を務める。2017年には週休3日・複業を実践する会社、株式会社クロスリバーを設立し、800社以上の働き方改革を支援。年300回以上提供する企業向けオンライン講座の受講者満足度は平均96%、行動に移す受講者は95%以上。著書は『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)や、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など33冊、累計130万部。NHK、TBS、テレビ東京、PIVOT、NewsPicksやReHacQなどメディア出演多数。
精神科医。産業医。公認心理師
1991年生まれ。秋田大学医学部卒業。幼少期に罹患した川崎病が原因で、心臓に冠動脈瘤という障害が残り、現在も治療を続ける。障害とともに生きることで学んできた考え方と、精神科医としての知見を発信しており、メディアへの出演も多数。SNS総フォロワー数15万人(2026年4月現在)。 精神科病院や医療刑務所で医師として働くかたわら、著述業にも精力的に取り組む。『「誰かのため」に生きすぎない』『「そのままの自分」を生きてみる』『人間関係に「線を引く」レッスン』(以上すべてディスカヴァー)はシリーズ10万部を超えるベストセラーに。『精神科医が教える 生きるのがラクになる脱力レッスン』(三笠書房) 『不機嫌を飼いならそう』(主婦の友社)など著書多数。







