逮捕状には、自分の氏名や生年月日も正確に記されていた。もちろん全て偽物だが、一般の人がパッと見て見破ることは難しい。最近ではAI技術を悪用し、実在しない人物の顔を合成した警察官の映像を見せられるケースも確認されているという。
ニセの逮捕状(提供:愛知県警察) 拡大画像表示
近年急増している「ニセ警察詐欺」は、このようにスマホへの電話から始まり、LINEへと誘導されるケースが大半を占める。愛知県警察本部生活安全総務課の尾崎昭裕警部は、「LINEに誘導された時点で、まず詐欺を疑ってほしい」と強調する。
「警察がLINEなどのメッセージアプリで連絡を取ることはありません。警察手帳や逮捕状の画像を送ることもありません」(尾崎警部)
しかしLINEに誘導された男性は、気づかぬうちに犯人グループの管理下へ置かれていく。そして、「取り調べ」は数時間で終わるものではなかった。
誰かに話すと罪が重くなる――?
孤立と逮捕の恐怖が判断力を奪う
犯人グループは、男性に対して次のような指示を繰り返し、周囲から切り離していく。
「今、周りに人はいないか。1人になれる場所に移動してください」
「捜査上の守秘義務があるため、家族や知人にも絶対に話してはならない」
「ネット検索もダメ。こちらでスマホを監視しているから、調べたら罪が重くなる」
なかには、「誰とも接触しないよう、ホテルに1週間缶詰でいるように」と指示されたケースもあるという。「だましというより、洗脳に近い状態となる」(尾崎警部)。
なぜ、多くの人が信じてしまうのか。背景にあるのは、「逮捕されるかもしれない」という強い恐怖だ。同課の田中真人警部補は、自身にもニセ警察から電話がかかってきた珍妙な経験を振り返る。







