昼食後に強い眠気を感じ、つい横になってしまう人は多い。しかし、食後すぐの仮眠は取り方を間違えると胸やけや胃もたれの原因になりかねない。一方で、姿勢や時間を工夫すれば、午後の集中力を高める効果も期待できる。食後に仮眠を取る際の注意点と、机に伏せる場合と横になる場合の使い分けについて、米国内科専門医の有好信博氏が最新の知見をもとに解説する。

【午後がラクになる】食後すぐの仮眠で注意したい姿勢・おすすめの姿勢Photo: Adobe Stock

昼食後すぐに仮眠を取っても問題ないか?

 疲れがたまっている日など、午後に仮眠を挟む日もあるだろう。その際に、気を付けたいのがタイミングだ。

 胃の内容物が逆流しやすい人は、食後すぐに、完全に横になって長く寝るのは避けたほうがよい。

 食後は胃の内容物が増え、横になると重力の助けがなくなるため、胃の内容物が食道側へ上がりやすくなる。特に逆流性食道炎がある人では、食後の臥位(横になった姿勢)で逆流が起こりやすい。

 また、体位によっても差がある。研究では、左を下にして寝た状態では逆流が起こりにくく、右を下にして寝た状態では起こりやすいことが示されている(*1)。

 健康な人でも、食後すぐにベッドやソファで長く横になると、胸やけや胃のもたれが出やすい。

 どうしても食後に仮眠を取りたい場合は、次の3点でリスクを下げられる。

・少し動いてから:食後に数分~10分ほど軽く歩く
・短時間だけ:10~20分の短い仮眠にとどめる(深い睡眠に入らない)
・姿勢を工夫する:完全な仰向けを避け、左向きになるか、上体を少し起こす

 逆流症状の自覚がない人でも、食後すぐに長く横になるのは避け、短時間にとどめて姿勢も工夫するのが無難だ。

仮眠を取るとき、机に伏せるのと横になるのとでは、どちらがよい?

 そして、仮眠の際の姿勢は、目的によって使い分けるのがよい。

 眠気をリセットしたいだけなら机に伏せる姿勢でも十分で、しっかり回復したいなら横になるほうがよい。しっかり疲れを取りたいなら、横になって眠るほうが回復しやすい。

 ベッドや深めのリクライニングチェアで横になり、短めの仮眠を取ると、脳も体も効率よく休ませることができる。

 ただし、あまり長く眠りすぎると深い睡眠に入りやすく、起きた直後に強い眠気やだるさ(睡眠慣性)が出やすくなるため、仮眠はほどほどの長さにとどめるのが基本だ。

 一方で、「とにかくいまの眠気だけをリセットしたい」「数分~十数分だけ目を閉じたい」といった場面では、机に伏せる姿勢での短い仮眠も有効だ。座位や前かがみの姿勢では深い眠りに入りにくく、その分、目覚めも比較的すっきりしやすい。

 机で眠るときは、上体を軽く前に倒し、顔や胸を支えるクッションやタオルを使うと、首や肩への負担を減らせる。ただし、この姿勢のまま長時間眠ると、筋肉や神経への負担が増えるため、短時間向きと考えておいたほうがよい

 つまり、しっかり回復したいときには横になり、短時間で切り替えたいときには机に伏せる。このように目的に合わせて姿勢と仮眠の取り方を選ぶことで、仮眠の効果をより引き出しやすくなる。

[注]
1. van Herwaarden MA, Katzka DA, Smout AJ, Samsom M, Gideon M, Castell DO. Effect of different recumbent positions on postprandial gastroesophageal reflux in normal subjects. Am J Gastroenterol. 2000 Oct;95(10):2731-6.

(本記事は書籍『鍛えるよりも「使い方」 体力がすべて』の一部を抜粋・編集したものです)