人生の「勝敗」を決める最大の要因は何だろう。お金か、仕事か、人間関係か。多くの人はさまざまな答えを思い浮かべるだろう。しかし人生100年時代において本当に重要なのは、それらを最後まで楽しめる状態を維持できるかどうかかもしれない。医師で老年医学・栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオンの知見から、人生の満足度を大きく左右する要因を紹介する。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)
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お金や地位では買えないもの
お金や地位を手に入れることは、多くの人にとって人生の目標の一つだろう。
しかしどんなに成功しても、健康を失ってしまえば、その価値を十分に味わうことはできない。人生の満足度を大きく左右する要因は、病気に悩まされることなく、心身ともに健やかな状態で長寿を手にできるかどうかだ。
では、そのために何が必要なのか。
医師で老年医学・栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオン著『筋肉が全て』によれば、そのカギは「筋肉」にある。
筋肉というと、見栄えのいい身体をつくるためや、アスリートがパフォーマンスを高めるためのものだと思われがちだ。しかしライオンによれば、筋肉は単に体を動かすためのパーツではない。代謝を支配し、免疫力を高め、全身の健康を支える重要な器官だという。
さらに、私たちが加齢のせいだと諦めがちな不調や、将来の病気の多くにも筋肉の状態が深く関わっている。つまり、健康な人生を長く送れるかどうかは、筋肉を守れるかどうかにかかっているのだ。
以下は同書からの抜粋である。
体重や外見、身体動作のことしか考えていない人が多すぎる。
筋トレに励む人のことを、虚栄心やエセ科学に振りまわされていると冷笑的に見ている人もいる。
だが筋肉には、見た目のカッコよさや運動能力の向上などより、はるかに重要な本質的な働きがある。
体重の約40%を占める筋肉は、健康の要となる器官だ。身体を中からも外からも変えて健康になりたければ、傷つき衰えた筋肉を修復し、無駄のない筋肉量を獲得することが絶対に必要なのだ。――同書より
筋肉が減少し脂肪が蓄積すると、インスリン抵抗性が高まり、糖尿病や心血管疾患、さらにはアルツハイマー病のリスクまで跳ね上がる。筋肉という病気から身を守る「最強の鎧」を自ら脱ぎ捨ててしまえば、将来の寝たきりリスクが高まり、自分の意思で自由に生きる生活を奪われてしまうのだ。
長生きだけしてもしょうがない
さらに筋肉が決定づけるのは、寿命の長さだけではない。長生きするだけでなく、「どう生きるか」という生活の質(QOL)こそが最も重要だ。著者は老年病の専門医としての経験から、次のように語っている。
病気にならなければよいというものではない。
たとえ病気でなくても、筋肉の健康は生活の質を大きく左右する。
身体を自由に動かせれば、好きなことをして人生を楽しめる。
良好な代謝を実現できれば、身体の機能と活力を保つことができる。
年齢を重ねると、精神的な回復力、問題を処理する能力、人間関係を良好に保つ知恵などは成長するが、身体は衰える。
だが、栄養摂取とトレーニングの計画を立てることで、衰えを遅らせることができる。
70歳になっても、半分の年齢の人より健康な筋肉を持っている生涯アスリートは珍しくない。
健康に影響を与える身体の生理を理解することで、意志によってコントロールできる要因に働きかけ、長寿を手に入れることができる。――同書より
「筋肉は、自分の意思で鍛え、コントロールできる唯一の臓器」だというのが著者の主張だ。何歳から運動を始めても遅すぎることはなく、適切な栄養と筋力トレーニングがあれば、衰えを遅らせて活力を取り戻すことができる。
未来の自分が後悔しないために、いますぐ良質なタンパク質を摂り、筋力トレーニングを始めよう。若い頃からの筋肉への投資こそが、人生後半の健康と生活の質を大きく左右するのだ。
(本記事は、ガブリエル・ライオン著『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』に関連した書き下ろし記事です)
医師(DO)
イリノイ大学で栄養科学の学部課程を修了後、セントルイス・ワシントン大学において老年医学・栄養科学の臨床・研究フェローシップを修了。健康、パフォーマンス、老化、疾病予防におけるタンパク質の種類および摂取量の実践的応用に関する分野の専門家、教育者として活躍している。筋肉についての最新研究を網羅した本書は全米で大きな話題を呼び、ニューヨーク・タイムズベストセラー、ウォール・ストリート・ジャーナルベストセラー、USAトゥデイベストセラーとなり、世界各国での刊行が続いている。



