本当の天才――たとえばテスラやスペースXを率いるイーロン・マスク氏を雇用し、その能力をフルに生かせる組織は世の中にどれだけあるでしょうか。自分が上司として彼をマネジメントできるか想像してみてください。そんな人はいないでしょう。
組織の中で本当の天才が天才であり続けることは、構造的にも難しい。組織にはルールや合意形成のプロセス、調整業務などがあります。天才がその発想を実行に移そうとすれば、その枠組みとしばしば衝突し、本人にとっても周囲にとっても居心地の悪い状況が生まれやすいのです。
突出した天才は「組織の一員」としてはなじみにくい。だからマスク氏のような人は自分で組織を作り、トップに立つ必要があるのだと思います。
会社で「重宝される人」は
組織人として寿命が長い
本当の天才とまではいかなくても、各分野で高い能力の持ち主がいます。では、こうした定時に帰る高能力人材と24時間戦う凡人を比べるとどうでしょうか。
ここで考えなければいけないのは、会社で求められるのは特定分野の能力だけではないことです。『豊臣兄弟!』に登場する竹中半兵衛のような知略の達人がいたとしても、実際に敵兵と相対するのは足軽兵、そして彼らを束ねる侍大将です。
組織はさまざまな役割の集合体であり、一人のエキスパートの力だけで回るものではありません。しかも仕事は定型的なものだけではなく、役割が整理された仕事ばかりでもありません。予定通りに進まないプロジェクト、誰もアサインされていないが誰かが拾わなければ先に進まない業務もあります。
そこで重要になってくるのが、経営者から見た「使いやすさ」という人材の資質です。これは単なる「従順さ」「上司の言いなり」という話ではなく、「状況に応じていろいろなことができて、潰しがきく」という意味です。自分の役割を理解したうえで、状況に応じて能動的に動ける人と言いかえてもよいでしょう。
要はミッションの達成に向かって「あれは嫌、これはダメ」と業務をえり好みせず、柔軟に必要な役割をこなせる人。使いやすい人は「重宝される人」ともいえます。このような人材は、組織人としての寿命が長くなりやすいです。環境変化への耐性も高い。







