スーパーやネットには、岩塩やピンク色の塩、特定の産地の塩など、さまざまな種類の塩が並んでいる。値段も色も味も違うこれらの塩は、栄養学的にも違いがあるのだろうか。

【医師が教える】「岩塩のほうが体にいい」と信じている人が注意すべきことPhoto: Adobe Stock

塩の種類は驚くほど多く、選ぶのも一苦労だ

普段使う塩を買おうとスーパーやネットを見ると、
精製塩のほかに、どこかの山の岩塩、特定の海や湖から採れた塩など、
驚くほど多くの種類が並んでいる。
色も真っ白なものから黒っぽいもの、ピンク色のものまで多種多様で、
味も値段もそれぞれ微妙に異なっている。

こうした塩の違いは、見た目や価格からも一見明らかに感じられる。
高価な塩には、それだけの価値があるように思えてしまうのも自然なことだろう。
しかし、その違いがどこから来ているのかを正しく知っている人は、案外少ないかもしれない。

違いの正体は「微量の混入物」にある

スーパーやネットではいろいろな塩が売られています。精製塩と呼ばれている塩だけでなく、どこそこ山の岩塩とか、△△海や、××湖の塩などがたくさんあり、選ぶのに困りますよね。
色もまっ白のものから黒っぽいもの、ピンク色をしたものなど多種多様で、味もすべて微妙に違うようです。値段にも幅があります。
「塩」の主成分は塩化ナトリウムですが、これらの食用塩には塩化ナトリウム以外の成分、たとえばマグネシウム・カルシウム・カリウム、さらには鉄や硫黄などが少量混ざっており、その混入物の種類や量によって味や色の違いが出てきます。
さて、これらの塩は、味は大きく違いますが、栄養学的な違いはあるのでしょうか? 実はまったくありません。栄養学的にはすべて同じ「塩」です。
なぜなら、家庭で調理に使用する塩の量は微々たるものであり、その微々たる量に含まれる混入物の量など無視できるからです。
よって、料理の味のために塩にこだわるのは意味がありますが、健康のためにこだわるのは無意味です。

塩の主成分は塩化ナトリウムだが、それ以外にもマグネシウムやカルシウム、カリウム、鉄、硫黄といった成分が少量含まれている。
この混入物の種類や量の違いが、塩の色や味の違いとして現れているという。
つまり、見た目や風味の差は、確かに科学的な根拠のある違いだ。

しかし、その混入物の量について考えてみると、家庭で実際に調理に使われる塩の量自体が、もともと少量に過ぎない。
さらにその中に含まれるマグネシウムやカルシウムなどの微量成分は、無視できる量とされている。
栄養学的に見れば、岩塩であっても、湖の塩であっても、精製塩であっても、健康への影響に違いは生じないということになる。

「味のため」と「健康のため」を、分けて考える

この話から導かれる結論はシンプルだ。
塩の種類によって味や香りが変わるのは事実であり、
料理をおいしく仕上げたいという理由で塩を選ぶことには、十分な意味がある。
好みの味わいや料理との相性を考えて塩を使い分けることは、食事を楽しむうえで価値のある工夫だ。

一方で、「この塩は体にいいから」という理由で高価な塩を選ぶことには、栄養学的な根拠はないということになる。
健康面で気をつけるべきは、塩の種類ではなく、塩そのものの摂取量だ。
塩分の摂りすぎが気になる場合は、どの種類の塩を選ぶかよりも、
一日の使用量や、加工食品からの塩分摂取量を見直すことの方が、はるかに重要になる。

今日から試すなら、塩を選ぶときは「味の好み」で選び、健康面が気になるなら「使う量」を意識することだけでいい。

(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)