小魚や貝類は栄養豊富。玄米は白米より健康的――そう信じて積極的に取り入れてきた人は多い。しかし医師は、その「栄養が多い部分」には、もう一つの顔があると指摘する。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の著書『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』からヒントを探る。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)
栄養が豊富な部分は、毒物も蓄積しやすい
小魚や貝類が栄養学的に優れているのは事実だ。
内臓にはビタミン類、骨にはカルシウムなどのミネラルが含まれており、
筋肉だけを食べるより、多種多様な栄養成分を摂取できる。
しかし著者はここで、重要な裏側を示す。
その動物が毒物を摂取していた場合、毒物もレバーを中心とした内臓に蓄積される。
栄養が凝縮されている部分は、同時に有害物質も凝縮されやすい部分でもある。
「栄養豊富」と「毒物も多い」は、表裏一体
内臓にはビタミン類、骨にはミネラル(カルシウム)が入っているので、筋肉に比べて多種多様な栄養成分を摂取することができます。よって小魚や貝類などは栄養学的にとてもすぐれた食べものとなります。
しかし、残念なことに、その動物が毒物を摂取していた場合は、毒物もレバーを中心とした内臓に蓄積されます。よって汚染された海から採取した小魚や貝の内臓は、毒物も高濃度に含んでいることになります。魚のはらわたを除去することで、毒物の摂取量を少しは軽減できます。
同様なことは植物にもいえます。たとえば玄米と白米を比較すると、主な違いは胚芽とぬかの有無です。
胚芽は栄養をたくさん含んでいますが、同時に農薬などの毒物も高濃度に蓄積している可能性があります。白米は、ビタミンなどは少ないのですが、同時に毒物も少ないと言えます。
汚染された海から採取した小魚や貝の内臓は、毒物も高濃度に含んでいる可能性がある。
著者は、魚のはらわたを除去することで毒物の摂取量を「少しは軽減できる」と述べている。
完全に避けられるわけではないが、意識するだけでリスクを下げる効果が期待できる。
同じ構造は植物にも当てはまる。
玄米と白米の違いは、胚芽とぬかの有無だ。
胚芽には栄養が豊富に含まれているが、同時に農薬などの毒物も高濃度に蓄積している可能性がある。
白米はビタミン類が少ない一方で、毒物も少ないという側面がある。
「栄養が多い=体にいい」だけでは、判断が不完全だ
玄米が「白米より体にいい」という考え方は、栄養面だけを見れば一定の根拠がある。
しかし著者が示すのは、栄養の豊富さと毒物の蓄積リスクはセットで考える必要があるという視点だ。
どちらが「正解」かは、産地や農薬の使用状況、摂取量など、個人の状況によって異なる。
「体にいいと言われているから積極的に摂る」という判断の前に、こうした両面を知っておくことが大切だ。
気になる場合は、かかりつけ医や栄養士に相談することをお勧めしたい。
今日から試すなら、魚を食べるときに「はらわたを除去する」という選択肢を一度だけ意識してみることだけでいい。
(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)
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ひとつの論文やエビデンスだけを信じた食事では、栄養が偏ってしまいます。
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本書では、東京農業大学で栄養学と生理学の研究を続け、医師でもある著者が「栄養学的に正しい」最高の食事術を紹介します。
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基本となる知識と具体的な食事術を学ぶことで「健康法」迷子から抜け出し、食事によって人生が変わる1冊です。
主要目次
第1章 まず知るべき「栄養と食品」の基本
栄養バランスは毎日考えなくていい─「1週間」でつじつまが合えばOK
「完全栄養食」を信じるな─「これだけを食べれば大丈夫」などありえない
トクホと「健康食品」はまったくの別物─機能性食品の違いをおさえる
第2章 「病気と栄養」の危ない関係
ジュースが危ない本当の理由─果糖とブドウ糖はヤバすぎる
「体にいい油」も要注意─変性すれば、すべて悪玉
「コーラで歯が溶ける」は本当─リン酸の強さとその代償
第3章 栄養学的に「ヤバい」食習慣
ファストフードで地雷を踏むな─シェイクのヤバさを知る
黒烏龍茶でチャラにはならない─「焼け石に水」で食べ過ぎを招く
プロテインが逆効果になる?─肝臓・腎臓が酷使される理由
第4章 頭が悪くなる「脳をダメにする」食事
ビタミン不足は静かに脳を鈍らせる─頭が悪くなる仕組み
「カルシウム不足でイライラする」のは本当か?─科学的根拠はない
「コーヒーを飲まないと頭が回らない」は危険信号─カフェイン依存のリスク
第5章 「体によさそう」に惑わされないための知識
野菜ジュースで「野菜」は摂れない─ビタミンCも食物繊維も抜けている
「グルテンフリー神話」に惑わされるな─アレルギーがなければ無視していい
サプリメントは買わなくていい─価格も品質も信用できない
第6章 「食べないほうがいい」食品の誤解を解く
コレステロールは敵ではない─体の必須成分と動脈硬化の関係
「白米を食べると太りやすい」のはなぜか─長所と短所を理解する
「うま味調味料=危険」は思い込み─グルタミン酸ナトリウムの正体
第7章 誰でもすぐに実践できる「栄養学的な食習慣」
チェーン店で健康的に食べる方法─最強はリンガーハットの「ちゃんぽん」
パフォーマンスを上げるには「お酢」を飲む─最速でシャキッとする
「腸活」ブームが見落としているもの─腸内細菌は大腸にいる
第8章 「体調と体質を改善する」食事術
風邪をひいたらホットジュースを飲む─「ダイダイ湯」「生姜湯」がいい
食べるべき食品ベスト1は「納豆」─ビタミンKが爆増する発酵の力
「なんとなく不調」なときは食べものを疑う─5つの食事リセット術
第9章 「ストレスから体と心を守る」食事術
老化と病気は抗酸化物質で防ぐ─「ポリフェノールたっぷり」に騙されない
「おいしく・安く・栄養豊富」な旬の食材を選ぶ─無駄にお金をかけなくていい
強いストレスには「動物性たんぱく質」と「ハーブティー」─メンタルを整える食事
第10章 「やせながら元気になる」栄養学的ダイエット術
「2日で1.5kg」は誰でもやせられる─大切なのは継続できるかどうか
リバウンドを防ぐための小さな工夫─体だけではなく「心の健康」を維持する
「体脂肪率」に振り回されるな─大切なのは「経過」を追うこと
第11章 「健康なまま長生き」するための食事術
「空腹は最強のクスリ」は本当か?─実践してわかった長所と短所
40歳から筋肉は勝手に減り続ける─寝たきり回避には「たんぱく質」が必須
発がん性物質を避けるには「焼く」よりも「煮る」─肉はマリネがおすすめ