ビタミンCは多めに摂っておいた方がいい。塩分は少なければ少ないほどいい――そう思って食事を管理してきた。しかし医師は、「安全な物質は存在しない。あるのは安全な量だけだ」と言う。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の著書『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』からヒントを探る。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)
この世に「安全な物質」は存在しない
健康にいいと言われている成分を、できるだけ多く摂ろうとしている人は多い。
しかし著者はここで、栄養学の根本的な考え方を示す。
この世に「安全な物質」というものは存在しない。あるのは「安全な量」だけだと。
どんな栄養成分も、不足による害と過剰による害の両方がある。
「体にいいもの」を「多く摂るほどいい」と考えることは、栄養学的には正確ではない。
「ちょうどいい量」にこそ、意味がある
まず知っていただきたいのは、世の中のどんな食べものも「安全」ではないという事実です。
この世には「安全な物質」というものは存在しません。ただ「安全な量」があるだけです。どのような栄養成分にも、不足による害と過剰による害があります。
ある栄養成分の適切な摂取量を決める際には、栄養学では「どの程度体へのリスクが生じるか」という観点から考えます。
たとえば、ナトリウムは不足しても体によくないし、摂り過ぎても体によくありません。ちょうどいい量を摂取する必要があります。
このちょうどいい量、すなわちリスクが低くなる摂取量には、通常はある程度の幅があります。
カロリーやたんぱく質やビタミン・ミネラル類なども同様で、リスクが低くなる量というものが存在します。
ビタミンなども不足すると体の不調が出てきますが、ではたくさん食べれば食べるほどいいのかというと、必ずしもそういうわけではありません。どんなものにも適量というものが存在するわけです。
著者が例として挙げるのは、ナトリウム(塩分)だ。
塩分は摂り過ぎると高血圧などのリスクが高まると広く知られている。
しかし不足しても体に悪影響が出る。この事実はあまり知られていない。
「少なければいい」ではなく、「ちょうどいい量の範囲に収める」ことが重要だ。
ビタミンも同様だ。
不足すれば体の不調が出る。
しかし、「多く摂るほどいい」わけでは必ずしもない。
過剰摂取によるリスクが生じる栄養素も存在する。
カロリー、たんぱく質、ミネラル類。すべてに「リスクが低くなる摂取量の幅」がある。
「摂りすぎ」と「不足」の両方を意識することが、食の基本だ
「体にいいものをたくさん摂る」という発想から、
「体にいいものを適切な量で摂る」という発想に切り替えること。
それが、栄養学が示す食事の基本的な姿勢だ。
何かを増やすことより、バランスを保つことの方が難しく、そして重要だ。
特定の栄養素を大量に摂取する前に、まずその適切な摂取量の範囲を確認してほしい。
気になる場合は、かかりつけ医や栄養士に相談することをお勧めしたい。
今日から試すなら、「体にいいから多く摂ろう」と思ったとき、「適量はどれくらいか」を一度調べてみることだけでいい。
(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)
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本書では、東京農業大学で栄養学と生理学の研究を続け、医師でもある著者が「栄養学的に正しい」最高の食事術を紹介します。
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基本となる知識と具体的な食事術を学ぶことで「健康法」迷子から抜け出し、食事によって人生が変わる1冊です。
主要目次
第1章 まず知るべき「栄養と食品」の基本
栄養バランスは毎日考えなくていい─「1週間」でつじつまが合えばOK
「完全栄養食」を信じるな─「これだけを食べれば大丈夫」などありえない
トクホと「健康食品」はまったくの別物─機能性食品の違いをおさえる
第2章 「病気と栄養」の危ない関係
ジュースが危ない本当の理由─果糖とブドウ糖はヤバすぎる
「体にいい油」も要注意─変性すれば、すべて悪玉
「コーラで歯が溶ける」は本当─リン酸の強さとその代償
第3章 栄養学的に「ヤバい」食習慣
ファストフードで地雷を踏むな─シェイクのヤバさを知る
黒烏龍茶でチャラにはならない─「焼け石に水」で食べ過ぎを招く
プロテインが逆効果になる?─肝臓・腎臓が酷使される理由
第4章 頭が悪くなる「脳をダメにする」食事
ビタミン不足は静かに脳を鈍らせる─頭が悪くなる仕組み
「カルシウム不足でイライラする」のは本当か?─科学的根拠はない
「コーヒーを飲まないと頭が回らない」は危険信号─カフェイン依存のリスク
第5章 「体によさそう」に惑わされないための知識
野菜ジュースで「野菜」は摂れない─ビタミンCも食物繊維も抜けている
「グルテンフリー神話」に惑わされるな─アレルギーがなければ無視していい
サプリメントは買わなくていい─価格も品質も信用できない
第6章 「食べないほうがいい」食品の誤解を解く
コレステロールは敵ではない─体の必須成分と動脈硬化の関係
「白米を食べると太りやすい」のはなぜか─長所と短所を理解する
「うま味調味料=危険」は思い込み─グルタミン酸ナトリウムの正体
第7章 誰でもすぐに実践できる「栄養学的な食習慣」
チェーン店で健康的に食べる方法─最強はリンガーハットの「ちゃんぽん」
パフォーマンスを上げるには「お酢」を飲む─最速でシャキッとする
「腸活」ブームが見落としているもの─腸内細菌は大腸にいる
第8章 「体調と体質を改善する」食事術
風邪をひいたらホットジュースを飲む─「ダイダイ湯」「生姜湯」がいい
食べるべき食品ベスト1は「納豆」─ビタミンKが爆増する発酵の力
「なんとなく不調」なときは食べものを疑う─5つの食事リセット術
第9章 「ストレスから体と心を守る」食事術
老化と病気は抗酸化物質で防ぐ─「ポリフェノールたっぷり」に騙されない
「おいしく・安く・栄養豊富」な旬の食材を選ぶ─無駄にお金をかけなくていい
強いストレスには「動物性たんぱく質」と「ハーブティー」─メンタルを整える食事
第10章 「やせながら元気になる」栄養学的ダイエット術
「2日で1.5kg」は誰でもやせられる─大切なのは継続できるかどうか
リバウンドを防ぐための小さな工夫─体だけではなく「心の健康」を維持する
「体脂肪率」に振り回されるな─大切なのは「経過」を追うこと
第11章 「健康なまま長生き」するための食事術
「空腹は最強のクスリ」は本当か?─実践してわかった長所と短所
40歳から筋肉は勝手に減り続ける─寝たきり回避には「たんぱく質」が必須
発がん性物質を避けるには「焼く」よりも「煮る」─肉はマリネがおすすめ