ビタミンCは多めに摂っておいた方がいい。塩分は少なければ少ないほどいい――そう思って食事を管理してきた。しかし医師は、「安全な物質は存在しない。あるのは安全な量だけだ」と言う。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の著書『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』からヒントを探る。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)

【医師が教える】「体にいいものはたくさん食べたほうがいい」と信じている人が気をつけるべきことPhoto: Adobe Stock

この世に「安全な物質」は存在しない

健康にいいと言われている成分を、できるだけ多く摂ろうとしている人は多い。
しかし著者はここで、栄養学の根本的な考え方を示す。
この世に「安全な物質」というものは存在しない。あるのは「安全な量」だけだと。

どんな栄養成分も、不足による害と過剰による害の両方がある。
「体にいいもの」を「多く摂るほどいい」と考えることは、栄養学的には正確ではない。

「ちょうどいい量」にこそ、意味がある

まず知っていただきたいのは、世の中のどんな食べものも「安全」ではないという事実です。
この世には「安全な物質」というものは存在しません。ただ「安全な量」があるだけです。どのような栄養成分にも、不足による害と過剰による害があります。
ある栄養成分の適切な摂取量を決める際には、栄養学では「どの程度体へのリスクが生じるか」という観点から考えます。
たとえば、ナトリウムは不足しても体によくないし、摂り過ぎても体によくありません。ちょうどいい量を摂取する必要があります。
このちょうどいい量、すなわちリスクが低くなる摂取量には、通常はある程度の幅があります。
カロリーやたんぱく質やビタミン・ミネラル類なども同様で、リスクが低くなる量というものが存在します。
ビタミンなども不足すると体の不調が出てきますが、ではたくさん食べれば食べるほどいいのかというと、必ずしもそういうわけではありません。どんなものにも適量というものが存在するわけです。

著者が例として挙げるのは、ナトリウム(塩分)だ。
塩分は摂り過ぎると高血圧などのリスクが高まると広く知られている。
しかし不足しても体に悪影響が出る。この事実はあまり知られていない。
「少なければいい」ではなく、「ちょうどいい量の範囲に収める」ことが重要だ。

ビタミンも同様だ。
不足すれば体の不調が出る。
しかし、「多く摂るほどいい」わけでは必ずしもない。
過剰摂取によるリスクが生じる栄養素も存在する。
カロリー、たんぱく質、ミネラル類。すべてに「リスクが低くなる摂取量の幅」がある。

「摂りすぎ」と「不足」の両方を意識することが、食の基本だ

「体にいいものをたくさん摂る」という発想から、
「体にいいものを適切な量で摂る」という発想に切り替えること。
それが、栄養学が示す食事の基本的な姿勢だ。

何かを増やすことより、バランスを保つことの方が難しく、そして重要だ。
特定の栄養素を大量に摂取する前に、まずその適切な摂取量の範囲を確認してほしい。
気になる場合は、かかりつけ医や栄養士に相談することをお勧めしたい。

今日から試すなら、「体にいいから多く摂ろう」と思ったとき、「適量はどれくらいか」を一度調べてみることだけでいい。

(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)