カノジョ以外の女性には
惹かれない愛着ホルモン
ところで、オキシトシンというホルモンをご存じでしょうか?
これは愛着ホルモンと呼ばれているホルモン。母乳の分泌を促したり、分娩時に子宮収縮を促したりする、いわゆる癒やしと絆のホルモンです。
このオキシトシンは、親子だけでなく男女間や仲間といった、人間同士の結びつきを強めるのに貢献している、といわれています。
オキシトシンは男性が見知らぬ魅力的な女性と遭遇したときに、何らかの影響を引き起こすのだろうか、という視点で行われた研究があるのです。
これはドイツのボン大学で行われた研究で、57人の異性愛者の男性(平均年齢25歳)が、オキシトシンの鼻スプレーを投与される群、プラセボ群に分かれました。
うち、27人は独身男性で、30人はパートナーを持つ男性でした。スプレー投与から45分後に魅力的な女性が目の前に現れます。その女性に対して、被験者は「どのぐらいの距離感が最も理想的と感じたか」を測定しました。
その結果、オキシトシンを投与されたパートナーを持つ男性は、オキシトシンを投与されなかった男性や独身男性に比べて、女性からより遠くの距離を置いたのです。
魅力的な女性がアイコンタクトをとっても、視線をそらしても、いずれの群も理想的な距離は変わりませんでした。
つまり、パートナーがいると、絆ホルモンであるオキシトシンが見知らぬ異性を遠ざけるよう働く、というわけですね。
魅力的な女性に鼻を伸ばしてやたらと近づくようでは配偶者への愛情が足りないよ、という、まあ言われてみればその通りだな、という結果ですね。
仲むつまじい夫婦は
認知症を遠ざける
また、夫婦でいることは、認知機能の維持にも貢献しているようです。
古くから知られていることですが、独り者になると認知機能が低下しやすくなることがわかっています。
『脳を乗っ取る感情(アイツ)からあなたを守る方法』(篠原菊紀、日経BP)
フィンランドで平均21年間にわたって調査された研究によると、中年期(平均年齢50.4歳)にパートナーと暮らしている人は、他のパターン(独身、別居、死別)に比べて、65~79歳で認知障害を起こすリスクが3分の1、アルツハイマー病にかかるリスクも低くなった、ということが示されています。
夫婦間の温かいコミュニケーションが必要ということもあるでしょうが、夫婦間の適度なストレスが脳を鍛えている、という側面もあるかもしれません。
自分とは異なる人とこれほど長く密接に暮らすことはないわけで、そのなかで心地よく暮らしていくためにあれこれ工夫することが、いわば「脳トレ」になっているのかもしれません。
夫婦で向き合ってもらい互いを褒め合う、ということをしてもらうと、「前頭前野」が活性化します。
前頭前野が活性化するということは難しいタスクをしているのと同じことで、だからこそ、相手のいいところを頑張って見つけることは脳トレになるのです。







