自分の脳の中で必ずしもひらめく必要はなく、ネットで気軽に情報を求めることだって「集団知」を生かすということです。

 よく、「トップクリエーターの頭の中ではつねにひらめきが起こっている」なんて思われがちですが、そんなことはない。個体の持っている影響力なんてそんなに大きくないのです。

「ひらめき」は
1人だと生まれにくい

 広くつながりあう情報ネットワークのたまたまの結節点が自分の脳で、同じようなひらめきを持つ人はそこら中にいて当たり前なのです。

 たとえるなら、パソコンであってもスマホであっても、内蔵メモリにデータを詰め込むのではなく、クラウド上に保存したり、ネットワークを広げる、というようなことです。

 AI(人工知能)には、「教師あり学習」という、正解を教えるシステムがあります。

「これはブタであり、イヌではない」というような情報の学習をとにかく数多くやっていくと、AIの中に新たなカテゴリー判断が生まれます。

 最近の脳科学の見方からすると、「カテゴリーを覚えるのではなく、カテゴリーを作ることこそ脳の働きの根幹である」、ということ。

 となると、外界とつながり、ネットワークを広げ、情報をさかんにやりとりしないでいると脳はどんどん固定化し、ひらめきにくい脳になってしまいます。

 僕たち学者の感覚から言っても、「発見は自分の手でしなければ」という気分にとかくなりがちなのですが、そもそも科学だって先人の知恵の蓄積を受け継ぎながらどこかの段階で誰かがひらめく、という連続で成り立ってきたわけで、元々のそういった仕組みが今の時代に顕在化してきたのだと思います。

 このような考え方はこれからの企業にも必要です。市場ニーズに合わせる、というよりもニーズを新たに作り出さないといけない時代ですからね。

 ひらめきに固有性や所有権を持とうとするのはナンセンス。やめたほうがいいと思います。

「お互いに話すと情報ネットワークがつながりあい、ひらめきに変わる」。つまり「人と話す」というのはとても有効なのです。