「他者に説明する」ことで
新たな発見が得られる

 自分ひとりで抱え込んで、いつかやって来るひらめきを待つより、まとまらない状態でもとにかくアウトプットすることが効果的ということです。

 我々は「考えて、ひらめく」とか「考えて、書く」というふうにまず「考え」が先に来て「表現する」ことが後に来ると発想しがちです。

 つまり、ひらめきとは自我を中心としたモデルと思っているのですが、AIでも「共起現象」がたやすく起こることがわかっています。

 共起現象とは、たとえば、選挙に関する話題の中では「選挙」という言葉と「出馬」という言葉が同時に出現するようなことを言います。

 AIの自然言語処理のパターンでは、このように、ある単語が出たら、その単語から同時に「共起現象」が起こる仕組みがあります。

 おそらく、われわれの脳も、話したり書いたりとアウトプットしないことには共起現象は起こりにくい。出すことが大事なのです。

 そのアウトプットの仕方なのですが、「話す」こと、つまり「他者に説明する」ことで前頭前野の「ワーキングメモリ」が深く使われるということが起こります。

 するとネットワークの広がりが大きくなり、ひらめきも増しやすく、記憶の定着も促進されるでしょう。話したり、他者に説明しようとしたりすることで「わかっていること、わかっていないこと」も見えてきます。

 また、自分で原稿を書くことも、結局のところ、他者への説明ですよね。「伝わるかな」「ここはちょっと言葉を言い換えたほうがいいだろう」というふうに原稿を読む他者の脳みそを想像するぶん、ワーキングメモリが深く使われます。

 つまりは、極力、「自己完結しようとせず、他者を巻きこむのがいい」ということです。

 脳を固定化していると、外側から情報を取り込もう、という感覚になりますが、「既にたくさんある情報とつながっちゃえ!」ぐらいの気持ちのほうが、ひらめきは起こりやすいのです。