現代は既存のビジネススキルがにわかに陳腐化し、すぐに新たなスキル習得を求められる大激変期です。学び直しがブームとなる中、独学する力はもはや必須スキルになったといえます。特集『仕事に効く!独学バイブル』では『知的戦闘力を高める 独学の技法』『新・独学術 外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法』という2冊の独学本を紹介します。#5はアイデア数を1000倍化させる「組み合わせ」の極意です。仕事にも効く!独学するビジネスパーソンにとってのバイブルになること請け合いです。(ダイヤモンド編集部編集長 山口圭介)

元外資コンサルの「アイデア数1000倍化」の極意、ジョブズも重視したテクニックとは?

創造とは『新しい何かを生み出すこと』ではなく、
『新しい組み合わせを作ること』

 2019年に編集長になって以来、私が常に欲しているのが「良質な企画」です。企画こそが編集コンテンツの要諦であり、実際、ダイヤモンド編集部において最も重視されているのが、執筆記事の本数でもスクープの本数でもなく、良質な企画の提案です。

 企画=課題解決、すなわち、企画とは読者の課題を見つけて解決策を提示するものと、私は解釈しています。では、どうしたら課題解決につながる良質な企画を生み出すことができるのでしょう。

「イノベーションの父」と呼ばれた経済学者ジョセフ・シュンペーターは、新しい知は「既存の知」と別の「既存の知」の組み合わせで生まれると喝破しました。

「週刊ダイヤモンド」の特集企画も似たところがあり、「倒産」と「ランキング」を組み合わせた「倒産危険度ランキング」特集など、これまでになかった“掛け算”によって多くのヒット企画が生まれています。

『知的戦闘力を高める 独学の技法』の著者で、独学で外資系コンサルタントとして活躍した山口周氏もスティーブ・ジョブズなどを引き合いに出し、同様の説明をしています。

「ジョブズは、創造というものが『新しい何かを生み出すこと』ではなく、『新しい組み合わせを作ること』でしかないと指摘しています」と山口氏。

 ここで重要になってくるのが、「組み合わせる情報」の数です。

「ジョブズの指摘通り、全てのアイデアは、異なる二つの要素の組み合わせによって生まれると仮定した場合、10個の知識を持っている人と100個の知識を持っている人では、組み合わせによって得られるアイデアの数はそれぞれ45個と4950個となります」(山口氏)

 つまり、知識の量が10倍になると、その知識の組み合わせによって生み出せるアイデアの数は100倍以上。この前提を、三つの知識の組み合わせによってアイデアが生まれるとすれば、生み出せるアイデアの数はそれぞれ120と16万1700となり、差は1000倍以上となるわけです。

『知的戦闘力を高める 独学の技法』の本文では、やり方次第でアイデア数が爆増する知的ストックの貯蔵法・活用法を徹底的に掘り下げています。ぜひご一読ください。

『知的戦闘力を高める 独学の技法』の第4章はこちら

元外資コンサルの「アイデア数1000倍化」の極意、ジョブズも重視したテクニックとは?

はじめに/目次 P.1~P.30

序章 知的戦闘力をどう上げるか? P.31~P.58

第1章 戦う武器をどう集めるか? P.59~P.84

第2章 生産性の高いインプットの技法 P.85~P.156

第3章 知識を使える武器に変える P.157~P.176

第4章 創造性を高める知的生産システム P.177~P.224

第5章 なぜ教養が「知の武器」になるのか?/おわりにかえて P.225~