できない自分は「仮の姿」と信じる
スタンフォード大学のクランボルツ教授の「計画性偶発的理論」をご存じでしょうか?この理論によると、人のキャリアの8割は偶然の出来事に左右されているそうです。
ただし、良い偶然がたくさん起きている人と、そうではない人がいて、その違いは普段の行動パターンにあると語っています。そして、自分らしいキャリアをつくるための偶然に出合うためには、次の5つが必要だと言われています。
- 1:好奇心(Curiosity)
- 2:こだわり、持続力があること(Persistence)
- 3:柔軟性(Flexibility)
- 4:楽観性(Optimism)
- 5:リスクを取ること(Risk Taking)
自分自身の行動や性格を分析してみても、この5つは当てはまっていると思います。そして、この中でも、楽観的であることは非常に大切です。
ハーバード大学への留学を決めた当時の私には、普通の高校生程度の英語力しかありませんでしたが、「とりあえず行ってみればなんとかなる」と考えて、飛び込んでしまいました。いま考えてみても、ずいぶん大胆な選択だったと思います。
もちろん、行ってみるとそれなりの苦労はありました。とくに言葉の面では苦戦の連続です。当初は、ルームメートの話を聞きとれない、私の話もまったく通じないような状態でした。
「chocolate」は「チョコレート」、「McDonald's」は「マクドナルド」とカタカナの発音だったため、「何を言っているんだろう?」という顔をされてしまいます。日々のコミュニケーションにすら苦労する生活でした。
新しい国や環境で仕事をする場合、日本にいるとき以上に、失敗して恥ずかしいこと、悔しい想いをすることがあります。また、楽観的なほうがいいと言ってしまうのは簡単ですが、突然、性格を変えることは難しいでしょう。
そんなとき、私はいつもこうしています。
できない自分は「仮の姿」だと信じること。
元々の私の性格は、どちらかといえば、慎重で、臆病だと自分で理解しています。
それでも、新しい環境にチャレンジしてもがいている最中も、挑戦を決意して、失敗して恥ずかしさや悔しさに押しつぶされそうになったときも、私はこの方法で、辛いと思う状態から脱け出してきました。