株式投資の成果を左右するのは、銘柄選びだけではありません。売買のタイミングも重要です。株で利益を出し続けている人たちは、チャートのどこを見て売買を判断するのでしょうか。「チャートで、売りや買いの勢いを読み取る」と話すのは、2000億円超を運用した元ファンドマネジャーで、楽天証券の窪田真之さん。この記事では、ローソク足を使った売買判断のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

株で勝てる人は見逃さない「相場が反転する前に現れる1つの兆候」とは?Photo: Adobe Stock

ローソク足から、投資家心理が見えてくる

 相場の強弱を見極めるうえで欠かせないのが、ローソク足です。

 ローソク足は単なる値動きの記録ではありません。そこには、売り手と買い手の力関係や、投資家たちの心理が映し出されています。

 次の2つのチャートを見てみましょう。

 A社は5週連続で下落したあとに長い陽線が出ています。

 一方、B社は5週連続で上昇したあとに長い陰線が出ています。

 もし今から買うとしたら、あなたはどちらを選ぶでしょうか?

あなたはどちらの株を選びますか?A社とB社の週足チャート

 注目したいのは、最後の2週間のローソク足です。

 前週の高値と安値の範囲を、翌週のローソク足の実体(始値と終値)がすっぽり包み込む形を「包み足」と呼びます。

 A社は、陽線が前週の陰線を包み込む「陽線包み足」です。下落トレンドのなかでこの形が現れると、相場が上昇への転換点になることがあります。

 売買高も増えているため、「この価格なら買いたい」と考える投資家が多く、買いの勢いが強まったことがうかがえます。

 一方のB社は逆です。

 上昇トレンドのなかで、陰線が前週の陽線を包み込む「陰線包み足」が現れています。

 これは、それまで優勢だった買い手の勢いが弱まり、売り手が主導権を握り始めている可能性を示しています。こちらも売買高が増えているため、「この価格なら売りたい」と考える投資家が多く、売りの勢いが強まっていることがわかります。

 つまり、買うならA社であり、B社は避けるべきという判断になります。

包み足の正体は「大逆転劇」

 実は、A社とB社の2週間分の値動きを1本のローソク足にまとめると、何が起きているのかがより鮮明に見えてきます。

2週間の値動きを1本のローソク足にまとめると2週間の値動きを1本のローソク足にまとめると

 A社の陽線包み足は、「1本の長い下ヒゲを持つ陽線」となります。

 売り手が一気に株価を押し下げたものの、その後に買い手が強烈に反撃し、最終的には売り手を押し返した形です。

 まさに、売り方が優勢だった試合を買い方がひっくり返した「大逆転劇」といえるでしょう。

 一方のB社は、「長い上ヒゲを持つ陰線」になります。

 買い手がさらに上値を追おうとしたものの、売り手の反撃によって押し戻され、最後は売り手が主導権を握った状態です。

 こちらは、買い方が優勢だった試合を売り方がひっくり返した形といえます。

ローソク足の形だけで判断するのは早計

 もっとも、窪田さんは「ローソク足は強いシグナルではない」と強調しています。

 ローソク足の解説書には、買いシグナルや売りシグナルとされるさまざまな型が紹介されています。しかし、その形だけを暗記しても実戦では、ほとんど役に立たないと言います。

 ローソク足の形だけでなく、「売買高の変化」や「移動平均線の方向」といった情報と組み合わせながら、その背後にある投資家たちの動きを読み取ることで、判断の精度が高まります。