「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる」という。そんな木下氏が語る、AI時代になればなるほど「地頭」が重要になる理由とは?(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
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誰も教えてくれない「仕事の落とし穴」
私の新刊『地頭スイッチ』では、モゲジョを使ってさまざまな問いの答えを導いています。
地頭モードで出した答えを示すと、知頭の人からこんな反応が返ってきます。
「そんな条件、聞いてませんでした」
「その情報を知ってたら、私だって正しく判断できましたよ」
この指摘は半分は正しい。たしかに、最初から十分な情報があれば、多くの人はそれなりに妥当な判断ができる。
ただし、ここに仕事の落とし穴があります。
実際の仕事では、判断に必要な情報が事前に整理された形で渡されることはほとんどありません。
むしろ、目的も現状も条件もあいまいなまま、「考えてみて」「いい感じにやっておいて」と丸投げされる場面のほうが多い。
仕事で最も重要なこと
つまり仕事で最も重要なことは、正しい判断をするために必要な情報――目的・現状・条件――を、自分で拾い集めに行くことなのです。
知頭は目の前にある一部の情報だけで判断します。
自分の頭の中にストックされている「問いと答えのセット」から一番近いものを取り出して当てはめる。いわば、「見覚えのある型」に無理やり押し込む判断です。
一方、地頭は、すぐに答えを出しません。
まず情報を集め、足りないものに気づいたらそれを補強しにいきます。
そして、「これなら判断できる」と材料がそろってから答えを組み立てます。
最終的なアウトプットの差は、この姿勢の差から生まれるのです。
AI時代になればなるほど「地頭」が重要になる
最近では、「生成AIさえあれば、もう人間の地頭はいらないのでは?」という声もささやかれています。
でも、地頭を使わずにAIを使うのは、掛け算を知らずに電卓をたたいているようなもの。
掛け算がわかる人なら、電卓の計算結果を見て、「この数字、おかしい。ボタンを押し間違えたか」と気づけますが、掛け算を知らなければ、どれだけ数字がズレていても盲信してしまいます。
AIも同じで、自分の頭の中に「だいたいこのくらい」という概算の感覚がなければ、AIの答えが目的からズレ、条件を外していても違和感を持てません。
つまりAIは判断を代行してくれる存在ではなく、判断を助ける道具にすぎないのです。
だからこそ、AI時代になればなるほど「地頭」が重要になります。
「目的」を問い、「現状」を整理し、「条件」を見極める。このモゲジョの思考回路がなければ、どれだけ高度なツールを使っても仕事の質は上がらないのです。
(本記事は書籍『地頭スイッチ』の一部を抜粋・編集したものです)








